最後だなんて、言わせたくない。最後、だなんて……。



「朔月くん……好きだよ」

「俺も好きだよ……早瀬のことが」

 早瀬のお願いを聞くために、俺たちは近場にあるホテルの部屋に入った。

「朔月くん……」

「早瀬……」

 早瀬の頬に手を伸ばし、早瀬の唇にそっと口付けを交わすと、俺たちはどちらからともなく再び唇を重ね合う。

「朔月くん……」

「早瀬……やっぱり、やめたほうが……」

 早瀬にそう伝えたけど、早瀬は「やめないで……お願い」と俺を見つめる。

「……本当に、いいのか? 無理はしないでほしい」

「ううん……朔月くんとだから、いいの。だから……やめないで」

「……分かった。辛かったら、言って」 

 痩せ細った早瀬の身体にそっと触れると、早瀬の身体があまりにも細くて、触れるのを躊躇ってしまう。

「朔月くん……?」

「ずいぶん……痩せたんだな」

 あまりも細くて、ビックリしてしまう。

「……ずっと、抗がん剤治療、してたから。そのせいかな」

 抗がん剤……治療……。辛かっただろうな……。
 こんなに、痩せてしまって……。

「本当に……このまま、してもいいのか?」

「うん……したいの、朔月くんと」

 そこまで言われると、やめることすら、拒まれている気がしてしまう。