「え?抱いてって……なんだよ、唐突に」

 抱いてって、抱きしめてくれってことか……?

 いや、抱いてって……。そっちの意味……だよな?

「お願い……私、朔月くんに抱かれたいの」

「え……?」

 なんだ……? その意味深な発言は?

 よく……分からない。

「お願い……朔月くん」

 いや、お願いと言われても……。

「私ね……もう最後だから、朔月くんと一緒に過ごしたいの」

「……最後?」

 え……最後って……なんだよ。

「私……もうすぐ死ぬんだ」

 俺はその言葉を聞いて、思わず「え……?」と早瀬を見た。

「死ぬって……どういうこと、だよ?早瀬……」
  
 死ぬ……? 早瀬が、死ぬ……?

「私……病気なの」

 早瀬からその言葉を聞いた時、俺は言葉を失った。

 病気……? 早瀬が、病気……?

「ガンなの……私」

「……ガン?」

「うん。……子宮頸がん」

 早瀬から病気だと聞いても、まだ信じられない。

 本当に? 早瀬が……病気なのか?

「ウソ……だろ?」

「ウソじゃないよ。子宮頸がんなの、私。……もうすぐ、死ぬんだ」

 そんなことを言われても、信じられない。早瀬がガンだなんて……。

「私の余命、二週間なの」

「余命……二週間?」