「え……?」

「早瀬さんが、亡くなったって……今、早瀬さんのお母さんから、連絡があったんだ」

「ーーーっ!!」

 早瀬が……亡くなった? 早瀬が……死んだ?

 ウソ……だろ? 早瀬が……死んだ……。

「……っ、早瀬が……死んだ?」

「今朝方、病気で亡くなったって……」

 店長からそう言われて、俺は「……早瀬は。早瀬は、どこの病院……だったんですか?」と聞いた。

「ことぶき大学病院……だって」

「ことぶき、大学病院……」

 ここからそんなに遠くない病院だったけど、そこには電話をしていなかった。
 まさか、ことぶき大学病院に、入院していたなんて……。そうだったのか。

「早瀬さん……ガンだったんだってね」

「………」  

 早瀬……本当に、亡くなったんだな……。本当にもう、ここにはいないんだな……。

「まだ若いのに……可哀想だね」

「……生きてて、欲しかった」

 早瀬には、生きててほしかった。 あのたった一夜が、早瀬と過ごした最後の夜に……なってしまった。
 早瀬と過ごしたあの日、早瀬は「死にたくない」と、泣いていた。それが早瀬の本心だって思った。
 俺も早瀬には、もっともっと、生きていてほしかった。

 どうして、早瀬が病気になんてなったんだろう。 どうして、早瀬だったんだ……。
 もう一度ちゃんと、「好きだ」って伝えたかった。