次の日の朝、起きると隣りにいたはずの早瀬がいなくなっていた。

「早瀬……?」

 ベッドから起き上がると、そこには早瀬からの置き手紙が残されていた。

【朔月くんへ
昨日は本当に、ありがとう。
一緒に泣いてくれて、本当に嬉しかったよ。
幸せでした。わがまま聞いてくれて、本当にありがとう。
どうか……幸せになってね
秋音】

「早瀬……!」

 俺は急いで服を着てホテルを出た。 しばらくあちこちを探したけど、結局早瀬は見つからなかった。

 早瀬……なんで勝手にいなくなるんだよ……。勝手にいなくなるなよ……。
 そばにいるって、言っただろ。早瀬のそばにいたいって、そう言っただろ?
 なのになんで、いなくなるんだよ……!

「早瀬……」

 もう二度と、早瀬に会えないかもしれない。……そんなの、イヤだ。
 早瀬ともっと話したいし、もっと笑い合いたい。 もっともっと、いろんな話をしたかった。
 もっともっと、好きだって……言いたかった。

「っ……」

 そういえば、早瀬の入院している病院すら知らなかった。 どこの病院に、入院しているのだろうか。
 それを知ることが出来れば、きっと会えるだろうか。

 俺は職場の店長に、早瀬が入院している病院を知らないか聞くために電話したが、店長も知らないとのことだった。