バタバタと男達が倒れた。
 骸をハイヒールで踏み潰しながら、先へ進む。
「そこにいるのは分かってるから、出てきて仕掛けたら?」
 誰もいないはずの少し広めの場所で、セリーナが声を出した。
「なんで分かるんだよっ!」
 五人の男達が、顔を覗かせた。
「ふふっ。なんででしょうねぇ? あたしの誘いに乗ったわね」
 セリーナはにこりと笑いながら、男達五人の額を撃ち抜いた。
 一撃で死んだ彼らを、一瞥しながら先へ進もうとしたが、一歩踏み出した足をすぐに引っ込めた。
 次の瞬間、一発の弾丸が地面に撃ち込まれた。
 セリーナは無言で背中に背負っていたウノメナを構えた。
 弾を込めると、その場にしゃがみ込んで、敵の位置を探った。
 セリーナから数メートル前方、右の曲がり角に人の気配を感じた。
 ――夜目って本当に役に立つわねぇ。
 セリーナはそう思いながら、左側に移動して、射程内にその姿をおさめた。
 すかさず、狙いを定めて引き金を引いた。
 どさりとなにかが倒れた。
 近くまで歩いていくと、頭を撃たれた男が倒れていた。
 死んでいるのは分かっていたが、確認のためハイヒールで軽く蹴った。
 反応がないので、次へと進んだ。


「いったいどうなってんだ。ここは」
 ヴィアザがセリーナを見つけて、近くまで歩いてきた。
「あたしにもさっぱり。それにしても相変わらず、怪我が酷いわね」
「それは変わらんだろう」

「誰だっ! ごふっ!」
 出会い(がしら)に顔を出した男の心臓に刀を突き立て、骸を捨てた。
 また広いところに出た。
 ヴィアザとセリーナは首をかしげながら、次々に男達を殺していく。
 肉を断つ音と、銃声が辺りに響き渡った。
 かなりの数の男達を殺していたが、二人は息が一切乱れていなかった。疲れている様子がまったくない。
 誰一人、ヴィアザとセリーナが奥へと進む足を、止めることができなかった。
 そうこうしているうちに、狭い道を抜け、また広い場所に出た。


「とうとう、ここまできやがったか」
 そこには数人の男に守られた元締めがいた。
「ああ。俺達はここを完膚なきまでに、潰さなければならないからな」
「怪我してる奴とは思えん殺気だな」
「さっさと終わらせてやる」
 ヴィアザが不敵に(わら)うと、男達に向かって突っ込んだ。
 あっさりと男三人を殺し、振り返ると、セリーナの背後に元締めがいた。
「動くな」
 元締めが言いながら、ナイフを取り出した。
「……あたしを人質にするつもり? ……甘いわね」
 それまで黙ってセリーナが、低い声で言うと、右手に構えていたカオドグラルを、背後に向けて引き金を引いた。