旭、今どこにいますか、元気にしていますか。

 今どこにいるのか、何をしているのか。あの夜、どうして私にキスをしたのか。あれは、雰囲気に流されただけのものだったのか。
 聞きたいことがたくさんある。
 伝えたいこともたくさんある。
 こんなことになるのなら、あの夜に好きだと伝えておけばよかったとさえ思う。ずっと好きだったと。そうしたら、もしかしたら旭はいなくならなかったんじゃないかって、有り得ない妄想をして、何度も何度も後悔している。
 いくつもいくつも、送れないメッセージだけが増えていく。メッセージの数だけ、想いが募る。私は今も、こんなにも旭のことが好きだ。離れた今、その想いの強さを思い知らされている。
 神様、どうかもう一度、旭に会わせてください。
 頼みの綱であるノアは私の足元で気持ちよさそうに眠っている。
 旭、あの夜のことを覚えていますか。私は覚えています。あなたが残した胸の痛みとともに。
 スマホの画面がにじむ。
「旭、会いたいよ」
 あなたは私のことなど、忘れてしまったかもしれないけれど。
 旭の名前の下に、メッセージが増えることはない。

 毎日毎日、送れないメッセージだけが増えていく。想いが募るように。いつか、旭に届く日がきますようにと祈るような気持ちで、私は今日も想いを綴る。