爽やかな風が吹く朝。
大学の石畳がある階段を登ろうとすると、
誰かがを通り過ぎる。

「碧央、遅いぞ。早くこいよ!」
「今、行くつぅーの……?」

履いていた靴紐が取れかかって、
屈んだ結愛のそばを碧央が気になって顔を覗く。

「君って……」

 友人が手招きしながら叫ぶため、結愛に声をかけるのをやめて立ち去った。