「ここがどこかわかる…?亜芽、あなたは睡眠薬を過剰摂取して、病院に運ばれたの。自殺、しようとしたのよ」



だんだんと頭がクリアになってきて、様々なことを思い出してきた。


そうだ、一夜は…。



「理由は、一夜くん…よね。今日で一夜くんが亡くなって一ヶ月ね…」



ファミレスを出た後、私たちは観覧車に向かって淡く照らされた夜の道を二人で歩いていた。


ふと、一夜がさっきのファミレスにスマホを忘れたと言い出し、私にすぐ取ってくるからその場で待っててと言い残して一夜は駆けていった。


その直後だった。車のブレーキ音が聞こえて、鈍い音が響き渡ったのは。


一夜はもう二度と動くことも私の名前を呼んでくれることもなくなった。



この世界から、消えてしまった。



「一夜がいない世界で生きていくなんて、耐えられない…。だから、それならいっそのこと私も死のうと思ったの」