「最後のデート、俺の人生の中で一番の夜だったよ。俺は離れてても、何があっても、ずっと亜芽のことが大好き。この気持ちだけは絶対に変わることはないって断言するから。だから…またね、亜芽」



突然、がくんと床が崩れて深い深い底に落ちていく感覚に襲われた。


咄嗟に一夜に手を伸ばすが、下に落ちていくのは止められず、一夜もどんどんと遠ざかっていく。



…ああ、そうか。思い出してしまった。


一夜はもう…。



「…ん…っ」



そっと目を開けると、飛び込んできたのは見慣れない真っ白な天井だった。


まだぼんやりとする頭で、夢から覚めてしまったんだということだけはわかった。



「亜芽…?ああ、よかった、起きたのね…!」



少しやつれた顔のお母さんが、泣きそうな顔で私を覗き込んできた。