独特の世界観を持つリチャードとのコミュニケーションに戸惑いつつもリチャードを仲間に入れたことで戦力アップと共に信憑性が高く有力な情報(リチャードの古くからの友人が情報屋を営んでいる)を次々と得ることができ、旅は順調に進んでいた。
 ある日、ある村が魔族に襲われており、セシルという女性を助ける。セシルはすぐにロゼッタとレイの変装を見破り、それまでレイを女性だと思っていたリチャードはショックのあまり3日間も寝込む。
 3日間後、目を覚ましたリチャードはレイに女装していた理由を尋ね、レイは自分の生い立ちとロゼッタに対する想いを口にする。
 新たにセシルを仲間に加えて旅を再開させ、魔王(魔族)が住んでいるであろう最果ての地に近づくにつれ、段々と魔物の力も強くなり、倒すのに一苦労するロゼッタ達。
 そんなロゼッタ達の前に甲冑に身を包んだ1人の人物が現れる。
 その人物はかつて、ロゼッタが幼い頃、魔物に襲われた際に助けてくれた命の恩人であり、剣士になるきっかけとなった。
 再会を喜ぶロゼッタに人物は冷たく『去れ』と、言い放つ……。
 納得のいかないロゼッタは理由を聞くと、甲冑に身を包んだ人物は兜を脱ぎ、自分は何者であるか
(魔王の息子ーアレンであり、今は亡き愛する人間(ひと)ーオリビアとの約束を果たすために行動していること
オリビアと交わした約束とは魔物と人間との共存)を語り、ロゼッタ達は驚き、戸惑う……。
 それもそのはず……人間であるロゼッタ達が小さい頃から聞かされていた魔族像(かつて、王族の娘が魔族と恋に落ちたが、それは魔族が王族の地位を狙い、人間達を支配するためであり、王族の娘はその陰謀を知ったがために魔族に殺された。それ以来、人間は魔族を恨むようになった……。魔族に心を許してはならない。どんなに魔力が強力であろうと屈するな……と、語り継がれていた)とは全く違うものだったからだ。
 真実は魔王の息子ーアレンと王族の娘ーオリビアが恋に落ちた。
元々身体が弱く、アレンと出会った頃にはすでに余命いくばくもなかったオリビアが生前強く願っていたことは魔族と人間との共存であり、その思いをアレンはオリビアが生前のうちに叶えようとしたが、父親や周囲の幹部達を説得することは出来なかった……。
 また、アレンはオリビアの余命を少しでも延ばそうと奮闘する。古から魔族に密かに語り継がれるも禁忌とされる方法にも手を出すが上手くいかないどころか、それが原因でオリビアが亡くなったと王族(人間達)が誤解し、魔族と人間との間に深い溝が生まれ、いがみ合うきっかけとなってしまったのだった……。
 アレンの話を聞いて、ロゼッタ達はにわかには信じられなかったが、アレンの切実な思いに突き動かされ、アレンの思いを叶えようと行動を共にする。
 最初こそ、ことの真相を人々に話すも信じてもらえなかったが、徐々に理解の輪が広まり、わだかまりが解けていく。
 そして、ロゼッタ達の働きによって魔族と人間との間に平和条約が結ばれ、アレンはやっとオリビアが望んでいた願いを叶えることができたのだったーー……。