人間と魔族がいがみ合い、戦いが絶えない世界。

ロゼッタ幼少期(7歳)
 村から少し離れた森の中で魔族に出会い、襲われるも甲冑を身に纏った剣士に助けられる。
ロゼッタが生きる世界では女性が剣士になることに対してよく思われず、偏見や差別も多い。そんな世界でも1人の戦士として人助けをする強く凛としている剣士の姿にロゼッタは憧れを抱き、『絶対に剣士になる!!』と、志す。

 月日は流れ……9年後。

 ロゼッタ(16歳)は剣士となり、幼馴染みのレイ(16歳)と共に意気揚々と魔族(魔王)を討伐すべく魔王が住まうとされる最果ての地を目指して旅立つ。

 しかし、情報屋から入手する情報はガセネタばかり……。

 挙句の果てには、魔族(ゴブリン)の住処に足を踏み入れ、逃げながら戦っているうちに所々に背の高い草がうっそうと生えている草原の中央で大量の魔族(ゴブリン)と交戦することになってしまった。
 数の多さにロゼッタとレイの体力は徐々に削られ、ロゼッタは弱気になるもレイの言葉で弱気な気持ちを払い、持ち直すも……圧倒的な数の多さに疲労困憊になり、いよいよピンチを迎える。

 その時。

 1つ銃声をきっかけにバタバタと次々に魔族(ゴブリン)が倒れてゆく。

 ロゼッタとレイが状況を理解するよりも早く、いつの間にか背の高い美青年ーリチャードが2人の側にいて、レイのことを『姫』と、言って手を取り、熱い眼差しで見つめていた。
(レイの側にいるロゼッタのことは眼中に入っていない)

 リチャードの振る舞いにレイは戸惑い、ロゼッタは苛立ちを覚えて声を上げる。

 ようやくロゼッタの存在に気がついたリチャードは大量の魔族(ゴブリン)を相手に手こずり、危機的状況に陥ったロゼッタのことを馬鹿にする。

 リチャードの発言にレイは怒り、リチャードの首元に杖の先を押し当てる。

 ロゼッタはレイが冷静さを失っていることに気がつき、慌ててレイの名前を叫ぶと共にリチャードに助けてもらったことへの感謝を述べてから、大急ぎでその場から立ち去る。

 リチャードは呆然とその場に立ち尽くし、瞬く間に小さくなってゆくロゼッタとレイの背中をしばらく見つめた後……口元を緩め、意味深な笑みを浮かべるのであった……。