森の奥へ入り込み、わたしたちは湿地帯へ。
霧で、あまり先が見えない。
「この先に、カトブレパスがいるはずなんだけど」
慎重な足取りで、ゼゼリィが辺りを見渡す。
「カトブレパスって、危険なドラゴンなの?」
「戦闘力は、たいしたことないよ。ただ、【石化】が怖いね」
カトブレパスの瞳には、石化の効果があるらしい。
「あれだよ、キャル!」
デロデロとした沼地に、首の長いドラゴンが。
大きさは、ドラゴンパピーより少し大きいくらい。
というか、首から上の全部が、目玉ではないか。目だけで、生きている生物なのか。
「あの化け物が、ドラゴンですの?」
「そうだよ。カトブレパス。石化能力を持つ魔物だよ」
他の生命器官は、胴体に集結している。霧の濃い場所で育ったためか、目だけが異常に発達しているそうだ。
「あの大きな瞳に見つめられると、身体が硬直しちゃうんだ」
実際に狩りをする現場を、ゼゼリィが見せてくれる。
「鳥が、枯れ木に止まったね。見てごらん」
カトブレパスが、鳥に向けて目から光芒を発射した。
とっさに、鳥も羽を広げて逃げようとする。
羽を広げた状態のまま、鳥が固まった。そのまま、沼地に落ちる。
目で相手を固めて、そっと近づいて胴体にある口で鳥を食べた。
「気持ち悪いね」
「どう対処しましょうか?」
「わたしがオトリになるよ」
レベッカちゃんに肉体を預け、わたしは立ち上がる。
「キャルさんが?」
「わたしが敵を引き付けるから、クレアさんは弓で相手の首を切って」
レベッカちゃんの身体能力なら、カトブレパスの光線が来てもよけられるはずだ。
「わかりました。ムチャはなさらないでくださいませ、キャルさん」
「クレアさんも、危なくなったら、わたしを置いて逃げて」
わたしの言葉に、クレアさんもうなずく。
危険でも、やらないといけない。
お互いに、わかっているのだ。
だからこそ、相手を信頼している。
打ち合わせも、なし。すべて、アドリブでやっつける。
「準備はいい、レベッカちゃん?」
『ムチャだけど、キャルらしくて楽しいね!』
クレアさんが、召喚獣のトートから【地獄極楽右衛門】の三番を受け取った。
地獄極楽右衛門は、わたしが作ったクレアさん専用の魔剣である。一〇得ナイフのように、一〇本の剣で構成されているのだ。
各種剣には番号が振られていて、その中で三番は弓である。
「ウインドカッターも、乗せて差し上げますわ」
「任せるよ。いくよレベッカちゃん!」
レベッカちゃんが『おうさ!』と雄たけびを上げて、カトブレパスを挑発した。
『オラオラ! アンタの相手はアタシ様だよ!』
剣を振り回しながら、カトブレパスを誘い込む。
『くらいな。ウェーブ・スラッシュ!』
わたしはレベッカちゃんを振って、炎の衝撃波を展開する。
しかし、カトブレパスの瞳は、その炎さえも固めてしまった。
『なんてヤロウだ。こっちのスキルまで止めるとはねえ!』
「来るよ!」
『ホイ来た!』
カトブレパスが、こちらにヘイトを向けてくる。
怪光線を、乱れ打ちした。
だが、このタイミングを逃さないクレアさんではない。
「シュート。トドメですわ」
クレアさんが、矢を放った。
目と胴体を繋げる首を、魔法を重ね掛けした矢で跳ね飛ばす。
「魔物はまだ生きてるよ!」
ゼゼリィの言葉を受けて、わたしは剣に魔力を込める。
『今度こそ! ウェーブ・スラッシュ』
胴体めがけて、炎の衝撃波を撃った。
炎の一閃によって、魔物の身体が切断される。
カトブレパスの目に、触ってみた。
よし。目自体に、石化の能力はないみたい。
やはり、胴体とひとつになってようやく発動するスキルのようだ。
「まずは、カトブレパスの瞳をゲットだね」
『ああ。なんとかね……!?』
レベッカちゃんが、わたしの身体を使って跳躍した。
『気をつけろ、キャル! もう一体来るよ!』
沼から、なにかの魔物が現れる。
「あれは、ドラゴンゾンビだ!」
「ウソでしょ!? だってあれは」
さっき倒したカトブレパスが、ドラゴンゾンビになってるなんて!
霧で、あまり先が見えない。
「この先に、カトブレパスがいるはずなんだけど」
慎重な足取りで、ゼゼリィが辺りを見渡す。
「カトブレパスって、危険なドラゴンなの?」
「戦闘力は、たいしたことないよ。ただ、【石化】が怖いね」
カトブレパスの瞳には、石化の効果があるらしい。
「あれだよ、キャル!」
デロデロとした沼地に、首の長いドラゴンが。
大きさは、ドラゴンパピーより少し大きいくらい。
というか、首から上の全部が、目玉ではないか。目だけで、生きている生物なのか。
「あの化け物が、ドラゴンですの?」
「そうだよ。カトブレパス。石化能力を持つ魔物だよ」
他の生命器官は、胴体に集結している。霧の濃い場所で育ったためか、目だけが異常に発達しているそうだ。
「あの大きな瞳に見つめられると、身体が硬直しちゃうんだ」
実際に狩りをする現場を、ゼゼリィが見せてくれる。
「鳥が、枯れ木に止まったね。見てごらん」
カトブレパスが、鳥に向けて目から光芒を発射した。
とっさに、鳥も羽を広げて逃げようとする。
羽を広げた状態のまま、鳥が固まった。そのまま、沼地に落ちる。
目で相手を固めて、そっと近づいて胴体にある口で鳥を食べた。
「気持ち悪いね」
「どう対処しましょうか?」
「わたしがオトリになるよ」
レベッカちゃんに肉体を預け、わたしは立ち上がる。
「キャルさんが?」
「わたしが敵を引き付けるから、クレアさんは弓で相手の首を切って」
レベッカちゃんの身体能力なら、カトブレパスの光線が来てもよけられるはずだ。
「わかりました。ムチャはなさらないでくださいませ、キャルさん」
「クレアさんも、危なくなったら、わたしを置いて逃げて」
わたしの言葉に、クレアさんもうなずく。
危険でも、やらないといけない。
お互いに、わかっているのだ。
だからこそ、相手を信頼している。
打ち合わせも、なし。すべて、アドリブでやっつける。
「準備はいい、レベッカちゃん?」
『ムチャだけど、キャルらしくて楽しいね!』
クレアさんが、召喚獣のトートから【地獄極楽右衛門】の三番を受け取った。
地獄極楽右衛門は、わたしが作ったクレアさん専用の魔剣である。一〇得ナイフのように、一〇本の剣で構成されているのだ。
各種剣には番号が振られていて、その中で三番は弓である。
「ウインドカッターも、乗せて差し上げますわ」
「任せるよ。いくよレベッカちゃん!」
レベッカちゃんが『おうさ!』と雄たけびを上げて、カトブレパスを挑発した。
『オラオラ! アンタの相手はアタシ様だよ!』
剣を振り回しながら、カトブレパスを誘い込む。
『くらいな。ウェーブ・スラッシュ!』
わたしはレベッカちゃんを振って、炎の衝撃波を展開する。
しかし、カトブレパスの瞳は、その炎さえも固めてしまった。
『なんてヤロウだ。こっちのスキルまで止めるとはねえ!』
「来るよ!」
『ホイ来た!』
カトブレパスが、こちらにヘイトを向けてくる。
怪光線を、乱れ打ちした。
だが、このタイミングを逃さないクレアさんではない。
「シュート。トドメですわ」
クレアさんが、矢を放った。
目と胴体を繋げる首を、魔法を重ね掛けした矢で跳ね飛ばす。
「魔物はまだ生きてるよ!」
ゼゼリィの言葉を受けて、わたしは剣に魔力を込める。
『今度こそ! ウェーブ・スラッシュ』
胴体めがけて、炎の衝撃波を撃った。
炎の一閃によって、魔物の身体が切断される。
カトブレパスの目に、触ってみた。
よし。目自体に、石化の能力はないみたい。
やはり、胴体とひとつになってようやく発動するスキルのようだ。
「まずは、カトブレパスの瞳をゲットだね」
『ああ。なんとかね……!?』
レベッカちゃんが、わたしの身体を使って跳躍した。
『気をつけろ、キャル! もう一体来るよ!』
沼から、なにかの魔物が現れる。
「あれは、ドラゴンゾンビだ!」
「ウソでしょ!? だってあれは」
さっき倒したカトブレパスが、ドラゴンゾンビになってるなんて!