太陽が夕日に変わろうとする時間に私は池に架かった橋に左足を踏み入れた。

道しるべのように等間隔に配置された街灯を1つずつ目の横に見送っていく。

石が敷き詰められた地面に靴の踵がぶつかり合う音がする。
私より1歩先を進む君は水面を見つめ、街灯の光の反射を目に焼き付けていた。

その眼差しは水中のもっと深くを見つめていた。

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水族館へ行く目的は必ずしも魚を見ることだけとは限らない。水槽いっぱいに満たされた水を見る。

水はいつだってどんなものにもなれる。人間を構成しその大部分を占める水分として、一生忘れられない美しい海の景色として、優しく耳を撫でる瀬音として。

昔から水が好きだった。海の水も噴水の水も、ウォーターサーバーの水だって。


どうしてここまで水に執着しているのかは思い出せなかった。ただ自分にとって水はいつも身近にあるもので、なくてはならないものだった。

視界いっぱいに広がる青い世界に揺蕩うのは概念か実体か。

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