プロローグ

 それは私が、もうすぐ小学校五年生になろうという春休みのことだった。ドアベルの音を聞いた私は、スカートの裾を翻して玄関に向かった。
 ドアを開けると、両親を背後に従えて、同年代の男の子と女の子が立っていた。その瞬間に私は恋に落ちていた。しかし、私が恋したのは短い髪の男の子ではなく、長い髪の女の子の方だった。その時、前々から薄々感じていたことが確信に変わった。そうだ、私は女の子が好きなのだと。