家に入ると、ひんやりとした空気が私の全身を包み込んだ。

クーラーが効いている。最高。

自分の部屋に入り、椅子に座る。

パソコンを再び開く。すると、文字化けしているサイトが目に入った。

「なに・・・・・・?」

さっき、私は事件を調べた状態で画面を閉じたはずだ。

___まさか。

ありえない、そう思いながらも、私はいったんページを閉じた。

そして再び検索バーに単語を並べる。さっきと一言一句変わらぬように。

『2013年 ○○川 男女二人 死亡事故』

けれど、表示されたのは・・・・・・。

「検索結果はありません・・・・・・ってことはっ!」

私は思わずガッツポーズをした。

おそらくあの二人は私の指示を守ったのだ。

彼らは幽霊ではなく、「2024年に部分的にタイムスリップした、生きた人間」だったのだ。

嬉しくなって、思わず部屋の中でスキップをする。

再びSDカードをパソコンに刺し、あの二人の写真データを眺める。

『え!すごいきれいに撮れてる』

『もしかして写真部だったりします?』

彼らはそう言って私を褒めてくれたけど・・・・・・でも。

「あなたたちが、最高の被写体だったんだよ」

ぽつりとつぶやき、私は当該データを消した。



これは、私が体験した、不思議な一夏の記憶。


    【了】