「ありがとうございました」

「いえいえ、また来てねぇ」

愛想のいい笑みを浮かべる写真屋のおじちゃんにお辞儀をして、店を出る。

相変わらずのむわりとした空気が私を包んだ。

ぱたぱたと右手で顔をあおいだけれど、全然涼しくなった感じがしないのでやめた。

「さて・・・・・・」

左手の封筒を眺める。中には例の写真が入っている。ちなみに写真屋のおじちゃんにも良い写真だねって褒められた。さあ、どうしたものか・・・・・・。

炎天下、考えること五分。すでに時刻は午後三時を回っている。

「あ」

ふと、いい考えが浮かんだ。

今日はあの二人の命日だ。お供え物と一緒に、この写真をお供えしてしまえばいいのではないだろうか?

思い立ったが吉日。私はお供え物を買いに、花屋へ向かった。


***


「どんなお花をご希望ですか?」

女性のきれいな店員さんに、にっこりと笑いかけられ、戸惑う。

店頭には色とりどりのお花が並べられている。

「___あ」

ふと、ある花に目を引かれる。ヒマワリだ。

「ヒマワリを二本、お願いします」

「かしこまりました」

店員さんが手際よく花を包んでくれる。

「もしかして、プレゼント用ですか?」

「まあ・・・・・・そんな感じです。きっとあの二人は、ヒマワリが似合うと思うから」

素敵ですね、と店員さんが微笑んだ。そして私に包まれたヒマワリを二本、渡してくれた。

鼻をヒマワリに近づけると、あふれんばかりの夏の匂いがする。これを選んで正解だ、直感的にそう思った。

私はゆっくりとさっきの河川敷へと向かった。