「はあー・・・・・・あっつーい・・・・・・」
滝のように流れる汗を右手で拭いながら、私はふう、と息を漏らす。
スマホを確認する。天気予報アプリによれば、現在の気温は36度。死人出るって、マジで。
暑い暑いと独り言を漏らしながら、なんとか道を進んでいく。
暑いのが大の苦手な私。普段なら、こんなに暑い日はクーラーの効いた部屋でゴロゴロしているけれど、今日に限ってはそういうわけに行かなかった。
なぜかって?理由は簡単。私が所属している写真部の、課題提出期限が今日なのだ。
だというのに、怠け者の私は夏休みが始まってから今日に至るまで一枚も写真を撮っていなかった。
家の中の写真だけでことを済ませようかとも思ったけれど、いざ撮り始めるとこだわりたくなるのが写真部の性というヤツで。
結局、この暑い中をわざわざ闊歩することになった、という訳だ。
「なんかいい写真撮れないかな~」
言霊なんていうものもあるし、とりあえず願いを口に出してみる。
すると、視界の端に川が映った。お、魚も居るじゃん。
ふらふらになりながら、川の方へ近づく。河川敷へとつながる小さな階段を降り、私はコンクリートで出来た河川敷をゆっくりと歩いた。
遠くで魚が跳ねる音がして、思わず首から下がったカメラをそちらに向ける。けれど時すでに遅しで、魚はもうどこかに行ってしまっていた。
「はあー・・・・・・」
おもむろにため息をつく。
ふと、少し遠くの橋の下で、私と同い年くらいの男女が二人いるのが目に入った。
人を撮るのもありだな、なんて思い、ゆっくりとその男女二人へと近づいていく。
写真は鮮度が大切。何より、「ありのまま」を切り取ることが写真の醍醐味である。
そうだ。二人に気づかれないよう写真を撮ったあと、写真部の課題として提出して良いか許可をもらおう。うん、いい考え。
そろり、そろり。足音を立てないよう、歩を進める。
あと5メートル、4メートル、3メートル___今だ!
カシャッ。私はシャッターを切る。
風になびく少女の髪。本を片手に頬を赤らめる少年。鞄と天然水と、それからコントラストとなる日向の自転車。
うん。すっごく良いのが撮れた気がする。
接眼窓から目を離す。
すみません、と男女二人に声をかけようとした、そのとき。
「えっ・・・・・・?」
私の口からは困惑の声が漏れた。なぜかって?
そこにはもう、さっきまで居たはずの男女がいなかったからだ。どういうこと?
あたりをきょろきょろと見まわしたけれど、やっぱり誰も居ない。
不思議に思って、さっきまで男女がいたところへと歩く。
日陰になっているそこは涼しくて、まるでクーラーが効いているかのようだった。
ふと、橋の柱に目を向ける。
そこには、「2013年 男女二人死亡事故発生地 気をつけて!」と書かれた張り紙が張られていた。
滝のように流れる汗を右手で拭いながら、私はふう、と息を漏らす。
スマホを確認する。天気予報アプリによれば、現在の気温は36度。死人出るって、マジで。
暑い暑いと独り言を漏らしながら、なんとか道を進んでいく。
暑いのが大の苦手な私。普段なら、こんなに暑い日はクーラーの効いた部屋でゴロゴロしているけれど、今日に限ってはそういうわけに行かなかった。
なぜかって?理由は簡単。私が所属している写真部の、課題提出期限が今日なのだ。
だというのに、怠け者の私は夏休みが始まってから今日に至るまで一枚も写真を撮っていなかった。
家の中の写真だけでことを済ませようかとも思ったけれど、いざ撮り始めるとこだわりたくなるのが写真部の性というヤツで。
結局、この暑い中をわざわざ闊歩することになった、という訳だ。
「なんかいい写真撮れないかな~」
言霊なんていうものもあるし、とりあえず願いを口に出してみる。
すると、視界の端に川が映った。お、魚も居るじゃん。
ふらふらになりながら、川の方へ近づく。河川敷へとつながる小さな階段を降り、私はコンクリートで出来た河川敷をゆっくりと歩いた。
遠くで魚が跳ねる音がして、思わず首から下がったカメラをそちらに向ける。けれど時すでに遅しで、魚はもうどこかに行ってしまっていた。
「はあー・・・・・・」
おもむろにため息をつく。
ふと、少し遠くの橋の下で、私と同い年くらいの男女が二人いるのが目に入った。
人を撮るのもありだな、なんて思い、ゆっくりとその男女二人へと近づいていく。
写真は鮮度が大切。何より、「ありのまま」を切り取ることが写真の醍醐味である。
そうだ。二人に気づかれないよう写真を撮ったあと、写真部の課題として提出して良いか許可をもらおう。うん、いい考え。
そろり、そろり。足音を立てないよう、歩を進める。
あと5メートル、4メートル、3メートル___今だ!
カシャッ。私はシャッターを切る。
風になびく少女の髪。本を片手に頬を赤らめる少年。鞄と天然水と、それからコントラストとなる日向の自転車。
うん。すっごく良いのが撮れた気がする。
接眼窓から目を離す。
すみません、と男女二人に声をかけようとした、そのとき。
「えっ・・・・・・?」
私の口からは困惑の声が漏れた。なぜかって?
そこにはもう、さっきまで居たはずの男女がいなかったからだ。どういうこと?
あたりをきょろきょろと見まわしたけれど、やっぱり誰も居ない。
不思議に思って、さっきまで男女がいたところへと歩く。
日陰になっているそこは涼しくて、まるでクーラーが効いているかのようだった。
ふと、橋の柱に目を向ける。
そこには、「2013年 男女二人死亡事故発生地 気をつけて!」と書かれた張り紙が張られていた。