ここで、俺の昔話をします。

俺は普通だった。いや、普通より少し劣っていたかもしれない。小学生の頃は仲が良かった友達に、中学に入ってから急に虐められた。そこで出会ったのが、はる。
はるは俺が虐められているのを見てすぐに止めに来た。それが気に入らなかったのか、あいつらははるのことを次の標的とし、虐め始めた。はるはそれに耐えられなくなって、自殺しようとした。はるの事故は、不慮の事故として報道されたが、実際には自殺未遂だった。俺の代わりにいじめに耐えて、耐えきれなくなって辿り着いた結果。俺は悔やんだ。もっと強ければって。
はるが目を覚ました時、俺のことも中学に入って起こったことも、全て忘れていた。ちょうど良かった、もうこの話ははるの前では出さない。はるのお母さんにも説明し、子供の頃の話をしてもいいけど、俺の名前は出さないようにしてもらった。はるがこうなったのは俺の責任だから。
高校に入学した時、隣のクラスにはるがいた。しかも委員会まで一緒。俺は自分の話したいという欲にまけ、話しかけに行ってしまった。俺のことは覚えていないようで、自己紹介から入った。そして数ヶ月、俺は死んだ。

はる「私...そんなことが。」

透「ごめんね、あの時俺がもっと強ければ。」

はる「ううん、いいの。私、多分その時も透のこと好きだったと思う、命懸けで守ってたんだと思う。だから気にしないで。私がしたかっただけ。」

透「はる...やっぱりはるは優しいね。」

すると、どんどんと扉を叩く音がした。

とわ「おいふざけんな!思いが伝わってお兄ちゃんは嬉しいけど、さっさと中に入れろよ〜」

はる「分かってる、入ってきていいよ〜」

透「お兄ちゃん?いたの?」

はる「うん、お兄ちゃん。結構歳離れてるけどね笑」

とわ「お兄ちゃんとして紹介されんの、なんか気恥しい」

照れ気味にいうとわの顔はとても幸せそうだった。でも、そんな雰囲気を無視してお別れの時間はどんどん迫ってくる。

はる「2人とも、さよなら。会えて嬉しかったし、楽しかった。」

これが私が今言える最初で最後の精一杯の言葉。

とわ「おう、俺もだ。妹よ!」

透「俺も!本当の気持ち伝えられてよかった!短い間だったけど、ありがとう。」

そう言いながら2人は消えていった。私の明日からの生活は何か変わるだろうか。うん、きっと変わるだろう。新しい光を見つけたから。そういえば、私のなりたいもの。今思い出した。結構現実味のない夢だけど、私はその夢を叶えたい。もう少しで夜になる、私は今日も空を見上げた。あの一番星を探すために...。