不登校になってから3ヶ月、俺はこの日、急に外に出ようと思い外に出た。夜中で、当てもなかった俺は、とある近所の公園に来た。すると、先客がいるが見えた。おそらく同い年の少年であろう。ブランコに独り寂しく乗っていた。なんだろう。野生の直感が、話しかけるべきと言ってる。俺は人生で初めて、自分から話しかける。
「こんばんは。」
正直ものすごく緊張している。
「こ、こ、こんばんは。ど、どちら様でしょうか?」
少年はかなり動揺しているようだ。
「ごめんね、いきなり話しかけて。俺の名前は、綾。よろしく。」
「初対面でいきなりよろしくと言われませさても……」
まあそうなるわな。
「よかったら君の名前を聞かせ……」
「あ!」
少年がいきなり声を張り上げる。
「どうしたんだい?」
俺は思わず聞き返す。
「綾って……もしかして一条 綾?」
「そうだけど……」
「やっぱり!俺のこと覚えてる?」
覚えてるって……ん?待てよ。あ!
「もしかして、奈津紀《なつき》か?」
「そう!久しぶり!綾!」
マジかよ!まさか奈津紀がいるなんて。
「久しぶり!奈津紀!」
反町 奈津紀《そりまち なつき》。俺の小学校時代の同級生だ。中学進学と同時に遠く離れた町に転校したと聞いていたのだが……。いつの間にかこの町に戻って来ていたみたいだ。
「奈津紀はこんなところで何をしているんだい?」
「実はね……」
そう言って奈津紀は話し始めた。
奈津紀は愛知に転校し、しばらくは平和な日常を送っていたらしい。しかし、そんな中、事件は起こる。
奈津紀の父親が、殺人の容疑で逮捕されてしまったのだ。
「家族で夜ご飯を食べている時に、突然警察の人たちが入ってきて、親父に手錠かけて親父を連れて行ってしまって、俺も母親も何が起きたかわからなかった。」
父親は今も無罪を主張し裁判中だそうだ。しかし、奈津紀を襲った悲劇はそれだけではない。
「実名報道で、親父の名前が出てから、俺は学校でいじめられるようになった。人殺しの家族として扱われたからだ。冤罪であるはずなのに、裁判が終わらなければ証明ができない。仮に親父が人殺しだとしても、俺たち家族は何も悪くない。なのに、死ねとか、家族も死刑だとか言ってきて……まるで……獣みたいな扱いを受けた。」
そう言って、奈津紀は涙をこぼした。俺は、奈津紀の泣く姿を初めて見た。元々メンタルの強い奴だったからだ。
「だから、3週間前にこの町に戻ってきた。だけど、この町でも同じように扱われた……そのせいで、学校には行けなくなった。」
俺の知らない間に、そんなことになっていたなんて、思わなかったな。
「奇しくも、今の俺と似たような状況になっているみたいだね。」
俺は奈津紀に向かってこう言った。
「俺も中学でいじめを受けた。俺がトランスジェンダーだというのが嘘だと言われたからだ。本当のことを言っているのにさ。」
「なるほどね。お互い、不登校仲間と言うわけか。」
「そうみたいだね。」
寂しい毎日に光が見える。奈津紀と話していると、そんな気がする。
「また、夜にこの公園で会おうぜ、奈津紀。」
「ああ、また明日、綾。」
そう言って、それぞれの家に帰って行った。この時の俺は、これからとんでもないことになるなんて、知らなかった。
「こんばんは。」
正直ものすごく緊張している。
「こ、こ、こんばんは。ど、どちら様でしょうか?」
少年はかなり動揺しているようだ。
「ごめんね、いきなり話しかけて。俺の名前は、綾。よろしく。」
「初対面でいきなりよろしくと言われませさても……」
まあそうなるわな。
「よかったら君の名前を聞かせ……」
「あ!」
少年がいきなり声を張り上げる。
「どうしたんだい?」
俺は思わず聞き返す。
「綾って……もしかして一条 綾?」
「そうだけど……」
「やっぱり!俺のこと覚えてる?」
覚えてるって……ん?待てよ。あ!
「もしかして、奈津紀《なつき》か?」
「そう!久しぶり!綾!」
マジかよ!まさか奈津紀がいるなんて。
「久しぶり!奈津紀!」
反町 奈津紀《そりまち なつき》。俺の小学校時代の同級生だ。中学進学と同時に遠く離れた町に転校したと聞いていたのだが……。いつの間にかこの町に戻って来ていたみたいだ。
「奈津紀はこんなところで何をしているんだい?」
「実はね……」
そう言って奈津紀は話し始めた。
奈津紀は愛知に転校し、しばらくは平和な日常を送っていたらしい。しかし、そんな中、事件は起こる。
奈津紀の父親が、殺人の容疑で逮捕されてしまったのだ。
「家族で夜ご飯を食べている時に、突然警察の人たちが入ってきて、親父に手錠かけて親父を連れて行ってしまって、俺も母親も何が起きたかわからなかった。」
父親は今も無罪を主張し裁判中だそうだ。しかし、奈津紀を襲った悲劇はそれだけではない。
「実名報道で、親父の名前が出てから、俺は学校でいじめられるようになった。人殺しの家族として扱われたからだ。冤罪であるはずなのに、裁判が終わらなければ証明ができない。仮に親父が人殺しだとしても、俺たち家族は何も悪くない。なのに、死ねとか、家族も死刑だとか言ってきて……まるで……獣みたいな扱いを受けた。」
そう言って、奈津紀は涙をこぼした。俺は、奈津紀の泣く姿を初めて見た。元々メンタルの強い奴だったからだ。
「だから、3週間前にこの町に戻ってきた。だけど、この町でも同じように扱われた……そのせいで、学校には行けなくなった。」
俺の知らない間に、そんなことになっていたなんて、思わなかったな。
「奇しくも、今の俺と似たような状況になっているみたいだね。」
俺は奈津紀に向かってこう言った。
「俺も中学でいじめを受けた。俺がトランスジェンダーだというのが嘘だと言われたからだ。本当のことを言っているのにさ。」
「なるほどね。お互い、不登校仲間と言うわけか。」
「そうみたいだね。」
寂しい毎日に光が見える。奈津紀と話していると、そんな気がする。
「また、夜にこの公園で会おうぜ、奈津紀。」
「ああ、また明日、綾。」
そう言って、それぞれの家に帰って行った。この時の俺は、これからとんでもないことになるなんて、知らなかった。