今日は大切な話ということで美咲さんと蒼空と一緒に私も話を聞きに診察室に入る。
「良くなっていますね」
先生の一言に心臓がどくんと跳ね上がるのを感じた。先生は蒼空の検査結果を見つめて、驚いたようにかけていた眼鏡を上げた。
私は咄嗟に蒼空に顔を向ける。すると前に座っている蒼空も私に勢いよく振り返って、視線が交わった。
蒼空の緊張が溶けたのが見てわかった。美咲さんも「本当ですか!」と安心したように胸を撫で下ろす。
「今までの数値がこちらで比較でしみるとだいぶ良くなっています」
先生は前回と今回の検査結果を指で囲みながら説明してくれた。
「最近はリハビリにも励んでくれてるおかげで前より動けているし、薬も軽いものに変えて退院もできるかもしれません」
「よかった。本当によかった」
絶望の中、必死に掴んだ希望に私は喜ばずにはいられなかった。美咲さんも安心からか涙がこぼれていた。
「でも、まだ可能性の話でなんとも言えないので、これからも一緒に頑張っていきましょうね」
先生はそう言って、私たちに優しく微笑んだ。
「お母さんはもう少し詳しくお話があるのでよろしいでしょうか」
「はい」
そして私たちは美咲さんを置いて、病室に戻ってきていた。
ベットに座った蒼空も「よかった」と深々と呟いた。
先生から話があると呼ばれたときはいい報告なのか、悪い報告なのか、本当に心臓が止まるかと思った。
「お前がいたからだな」
蒼空は私を見てニカッと笑った。久しぶりに見た蒼空が心から笑った顔に私もつられて笑ってしまう。蒼空は私がいたからと言うけど、私はなにもしていない。蒼空が死と向き合って頑張り続けた結果だった。
「...俺もう死ぬんだって思ってたから、なにやっても無駄な気がして部活にも入らなかったんだ。でもやっぱり諦めきれなきて」
蒼空は一点を見つめながらそう話し出した。
「だからみんなと差は着いちゃうだろうけど大学で、もういっかいサッカーやってみようと思う」
「うん。じゃあ、試合とか応援しに行くね」
「試合に出れるかもわかんねぇよ。まだサッカーできるほど回復したわけではないし、でもそうだな。試合出るつもりで頑張ってみるよ」
宣言するように言った蒼空の瞳からその強い意志が伝わってきた。私は笑顔で頷いた。蒼空が一度諦めてしまったサッカーをもう一度始めてくれることが嬉しかった。
いつの日から生きる理由を探したら蒼空といる答えになった。お互いの存在がお互いのためになっている。これってすごいことなんだと思う。
「退院できたら、すぐにどっか行こうぜ!」
蒼空がもう退院したあとのことを考えていて、私はなんだか泣きそうになった。蒼空が生きおうとしている。これから先どうなるかなんて誰にもわからない。でも今、蒼空の未来に自然と私がいることこま嬉しかった。
いつか今のことも笑って話している日がくるんだろうか。それに蒼空と結婚とかなんてこともあったりするのかな。勝手に想像して少し照れくさくなった。私の考えが伝わってしまいそうで私は顔を隠すように顔を下に向けた。
蒼空は気づいていないようだったけれど、今はそれでいい。私たちがもう少し大人になったときに、また話してみよう。
このときの私にはすべてがうまくいくという根拠のない確信があった。
「良くなっていますね」
先生の一言に心臓がどくんと跳ね上がるのを感じた。先生は蒼空の検査結果を見つめて、驚いたようにかけていた眼鏡を上げた。
私は咄嗟に蒼空に顔を向ける。すると前に座っている蒼空も私に勢いよく振り返って、視線が交わった。
蒼空の緊張が溶けたのが見てわかった。美咲さんも「本当ですか!」と安心したように胸を撫で下ろす。
「今までの数値がこちらで比較でしみるとだいぶ良くなっています」
先生は前回と今回の検査結果を指で囲みながら説明してくれた。
「最近はリハビリにも励んでくれてるおかげで前より動けているし、薬も軽いものに変えて退院もできるかもしれません」
「よかった。本当によかった」
絶望の中、必死に掴んだ希望に私は喜ばずにはいられなかった。美咲さんも安心からか涙がこぼれていた。
「でも、まだ可能性の話でなんとも言えないので、これからも一緒に頑張っていきましょうね」
先生はそう言って、私たちに優しく微笑んだ。
「お母さんはもう少し詳しくお話があるのでよろしいでしょうか」
「はい」
そして私たちは美咲さんを置いて、病室に戻ってきていた。
ベットに座った蒼空も「よかった」と深々と呟いた。
先生から話があると呼ばれたときはいい報告なのか、悪い報告なのか、本当に心臓が止まるかと思った。
「お前がいたからだな」
蒼空は私を見てニカッと笑った。久しぶりに見た蒼空が心から笑った顔に私もつられて笑ってしまう。蒼空は私がいたからと言うけど、私はなにもしていない。蒼空が死と向き合って頑張り続けた結果だった。
「...俺もう死ぬんだって思ってたから、なにやっても無駄な気がして部活にも入らなかったんだ。でもやっぱり諦めきれなきて」
蒼空は一点を見つめながらそう話し出した。
「だからみんなと差は着いちゃうだろうけど大学で、もういっかいサッカーやってみようと思う」
「うん。じゃあ、試合とか応援しに行くね」
「試合に出れるかもわかんねぇよ。まだサッカーできるほど回復したわけではないし、でもそうだな。試合出るつもりで頑張ってみるよ」
宣言するように言った蒼空の瞳からその強い意志が伝わってきた。私は笑顔で頷いた。蒼空が一度諦めてしまったサッカーをもう一度始めてくれることが嬉しかった。
いつの日から生きる理由を探したら蒼空といる答えになった。お互いの存在がお互いのためになっている。これってすごいことなんだと思う。
「退院できたら、すぐにどっか行こうぜ!」
蒼空がもう退院したあとのことを考えていて、私はなんだか泣きそうになった。蒼空が生きおうとしている。これから先どうなるかなんて誰にもわからない。でも今、蒼空の未来に自然と私がいることこま嬉しかった。
いつか今のことも笑って話している日がくるんだろうか。それに蒼空と結婚とかなんてこともあったりするのかな。勝手に想像して少し照れくさくなった。私の考えが伝わってしまいそうで私は顔を隠すように顔を下に向けた。
蒼空は気づいていないようだったけれど、今はそれでいい。私たちがもう少し大人になったときに、また話してみよう。
このときの私にはすべてがうまくいくという根拠のない確信があった。