『♪♪♪』
ルルを少し成長させてから、大地の大精霊との契約を行った。
当然のようにルルも進化し、アースワームへ。
「ルル、とってもかわいいですよ」
「アースワームって、頭に花が咲くのね」
ルルの背中側には土色の鱗が生えた。真ん中あたりには苔が生え、頭には花冠が乗っかっている。
ずいぶん乙女ちっくな進化をしたなぁ。
『普通は咲いておらぬ』
「え!? そ、そうなのですか?」
『そうだねぇ。アースワームは土色の鱗が生えてるだけで、苔や花は咲かないかなぁ』
「じゃ、ルルは普通のアースワームではないのですね」
『お花の種を、せっせと撒いていたからかもしれないねぇ。フラワーアースワームって名付けようか』
また新種のワーム誕生か。
よく見たら苔の所にも、小さな白い花が点々と咲いてるな。
それを見てルルは嬉しそうに尾の部分を振っている。
『ルルよかったねぇ。これでみんなお揃いだよ』
『♪♪』
『♪』
三匹とも進化できたことを、ワームたち自身も喜んでいるようだ。
仲間外れなのは嫌だろうし、仲間外れにしてしまうのも嫌だったんだろう。
ルルの進化と契約も終わったし、集落に帰るか。
『♪?』
「どうしたんですか、ルル? え、木に?」
ルルが何かを見つけ、それをルーシェに伝えた。
大地の木に、花が咲いていた。
ルルの背中に咲いた花に似ているが、サイズがまったく違う。
ルルの背中に咲いた花は、小指の先ほどの小さなサイズ。
大地の木に咲いたのは、俺の掌よりもう少し大きいかな。とにかく大きい。
『この木はね、周りの土や植物を元気にするんだよ。大地から栄養を摂らずに、陽光からだけ栄養を採って、それを周囲にお裾分けするんだ』
「土や植物を!? じゃ、あの木を砂漠に植えれば緑化も――」
『砂には植えられないかなぁ。大きいし、上手く立たないと思うよ』
そうウリ坊=ベヒモスくんは話す。
『でもせっかく咲いたんだから、もう少し成長させて種を採ったら?』
「い、いいのかな。採っちゃって」
『ダメだよ』
「ダメなのかよ!」
『嘘だよ。採っていいよ』
どっちなんだよ!
くすくすと笑うウリ坊を横目に、大地の木をもう少し成長させた。
種になるまで――と。
花一輪につき、種一つなんだな。
「砂の上がダメなら……そうだ。アスのおふくろさんの所に植えるのはどうだ?」
『オ母サンノ所! デモイイノ? 集落ニ植エレバ、畑ガ元気にナルノニ』
「まぁそうなんだけどさ。アス、想像してみろ。この木が集落に生えているのを」
『ン? ウゥーン……ウゥ……集落ガ狭クナッチャウ!』
そう。
大地の木を植える場所は、よぉーく考えなきゃならない。
ドリュー族やマストたちが暮らす西の高台も、ヤギたちが暮らす東の高台も、この木を植えられるようなスペースはない。
なんせ幹の直径は二〇メートル以上ありそうだからなぁ。
そりゃあ樹齢千年でこのサイズだと、樹齢百年未満なら小さく済むだろう。
でも何百年か先に、絶対困ることになるだろう。
『離れた場所?』
とベヒモスくん。
「あぁ。人間の足だと半日いかないぐらいの距離かな」
『ふぅーん。まぁ大丈夫だよ。しっかり成長させていれば、かなりの範囲に元気を分けてあげられるはずだから』
「本当か!? よし。じゃあ向こうでは樹齢二千年ぐらい成長――いいかな、火竜?」
『なぜ我に聞く』
「いや、あんたの魔力を借りなきゃできないし」
もちろん、数日掛ければ二千年でもいけるけどさ。
『問題ない。アースも喜ぶだろう』
『ボク?』
「アスじゃなくって、おふくろさんの方だ」
『オ母サンガ……。ウン。キット喜ブネ』
こうして大地の木の種を持って、集落に帰ることになった。
戻る前に、砂漠の山のどこに温泉があるのか案内してもらった。
「おぉ、温泉だ!」
「でもここ、集落からだいぶん遠いわね」
「そうですねぇ。この辺りは来たことありませんし」
方角で言うと、集落から北東の方か。
上空から見ても、周辺はかなり険しい山が連なっている。
ロッククライミングのプロでもないと、なかなか来れなさそうな場所だ。
「こっちでも温泉、入れると思ったんだけどなぁ」
「ここじゃ気軽に来ることもできませんね」
『オジチャンイ頼ンダラ? 友達ニナッタンダシ。ネ、オジチャン』
『友だ……う……』
おじちゃん困ってるじゃん。
温泉に行きたいから乗せてって――とは、さすがに言いにくい。
友達でも言いにくいと思うぞ。
『大地の熱で温められたお湯に入りたいの?』
「これな、温泉っていうんだ。体にいいんだぜ」
『そうだね。大地の元気が詰まってるし』
「でもここから集落まで遠いんだよなぁ。温泉を引くにしても、さすがにちょっとなぁ」
ドリュー族に手伝ってもらうにしても、さすがになぁ。
『ふぅん。ぼくが手伝ってあげようか?』
「ベヒモスが?」
『くん。ベヒモスくん』
「あ、うん。ベヒモスくん」
『いいよ。手伝ってあげる』
手伝うって、どうやって?
するとベヒモスくんが温泉にどぶんと飛び込む。
そして――
ずず、ずごごごと地面の下が揺れ始めた。
「ベ、ベヒモスくん??」
『穴を掘っておる』
「え、穴?」
まさかここから集落まで、穴を掘ってくれるって言うのか!?
と思ったらベヒモスくんが温泉からちゃぽんと顔を出した。
『ところで、どこに繋げればいいの?』
そういや集落の場所、知らないんだったな。
ルルを少し成長させてから、大地の大精霊との契約を行った。
当然のようにルルも進化し、アースワームへ。
「ルル、とってもかわいいですよ」
「アースワームって、頭に花が咲くのね」
ルルの背中側には土色の鱗が生えた。真ん中あたりには苔が生え、頭には花冠が乗っかっている。
ずいぶん乙女ちっくな進化をしたなぁ。
『普通は咲いておらぬ』
「え!? そ、そうなのですか?」
『そうだねぇ。アースワームは土色の鱗が生えてるだけで、苔や花は咲かないかなぁ』
「じゃ、ルルは普通のアースワームではないのですね」
『お花の種を、せっせと撒いていたからかもしれないねぇ。フラワーアースワームって名付けようか』
また新種のワーム誕生か。
よく見たら苔の所にも、小さな白い花が点々と咲いてるな。
それを見てルルは嬉しそうに尾の部分を振っている。
『ルルよかったねぇ。これでみんなお揃いだよ』
『♪♪』
『♪』
三匹とも進化できたことを、ワームたち自身も喜んでいるようだ。
仲間外れなのは嫌だろうし、仲間外れにしてしまうのも嫌だったんだろう。
ルルの進化と契約も終わったし、集落に帰るか。
『♪?』
「どうしたんですか、ルル? え、木に?」
ルルが何かを見つけ、それをルーシェに伝えた。
大地の木に、花が咲いていた。
ルルの背中に咲いた花に似ているが、サイズがまったく違う。
ルルの背中に咲いた花は、小指の先ほどの小さなサイズ。
大地の木に咲いたのは、俺の掌よりもう少し大きいかな。とにかく大きい。
『この木はね、周りの土や植物を元気にするんだよ。大地から栄養を摂らずに、陽光からだけ栄養を採って、それを周囲にお裾分けするんだ』
「土や植物を!? じゃ、あの木を砂漠に植えれば緑化も――」
『砂には植えられないかなぁ。大きいし、上手く立たないと思うよ』
そうウリ坊=ベヒモスくんは話す。
『でもせっかく咲いたんだから、もう少し成長させて種を採ったら?』
「い、いいのかな。採っちゃって」
『ダメだよ』
「ダメなのかよ!」
『嘘だよ。採っていいよ』
どっちなんだよ!
くすくすと笑うウリ坊を横目に、大地の木をもう少し成長させた。
種になるまで――と。
花一輪につき、種一つなんだな。
「砂の上がダメなら……そうだ。アスのおふくろさんの所に植えるのはどうだ?」
『オ母サンノ所! デモイイノ? 集落ニ植エレバ、畑ガ元気にナルノニ』
「まぁそうなんだけどさ。アス、想像してみろ。この木が集落に生えているのを」
『ン? ウゥーン……ウゥ……集落ガ狭クナッチャウ!』
そう。
大地の木を植える場所は、よぉーく考えなきゃならない。
ドリュー族やマストたちが暮らす西の高台も、ヤギたちが暮らす東の高台も、この木を植えられるようなスペースはない。
なんせ幹の直径は二〇メートル以上ありそうだからなぁ。
そりゃあ樹齢千年でこのサイズだと、樹齢百年未満なら小さく済むだろう。
でも何百年か先に、絶対困ることになるだろう。
『離れた場所?』
とベヒモスくん。
「あぁ。人間の足だと半日いかないぐらいの距離かな」
『ふぅーん。まぁ大丈夫だよ。しっかり成長させていれば、かなりの範囲に元気を分けてあげられるはずだから』
「本当か!? よし。じゃあ向こうでは樹齢二千年ぐらい成長――いいかな、火竜?」
『なぜ我に聞く』
「いや、あんたの魔力を借りなきゃできないし」
もちろん、数日掛ければ二千年でもいけるけどさ。
『問題ない。アースも喜ぶだろう』
『ボク?』
「アスじゃなくって、おふくろさんの方だ」
『オ母サンガ……。ウン。キット喜ブネ』
こうして大地の木の種を持って、集落に帰ることになった。
戻る前に、砂漠の山のどこに温泉があるのか案内してもらった。
「おぉ、温泉だ!」
「でもここ、集落からだいぶん遠いわね」
「そうですねぇ。この辺りは来たことありませんし」
方角で言うと、集落から北東の方か。
上空から見ても、周辺はかなり険しい山が連なっている。
ロッククライミングのプロでもないと、なかなか来れなさそうな場所だ。
「こっちでも温泉、入れると思ったんだけどなぁ」
「ここじゃ気軽に来ることもできませんね」
『オジチャンイ頼ンダラ? 友達ニナッタンダシ。ネ、オジチャン』
『友だ……う……』
おじちゃん困ってるじゃん。
温泉に行きたいから乗せてって――とは、さすがに言いにくい。
友達でも言いにくいと思うぞ。
『大地の熱で温められたお湯に入りたいの?』
「これな、温泉っていうんだ。体にいいんだぜ」
『そうだね。大地の元気が詰まってるし』
「でもここから集落まで遠いんだよなぁ。温泉を引くにしても、さすがにちょっとなぁ」
ドリュー族に手伝ってもらうにしても、さすがになぁ。
『ふぅん。ぼくが手伝ってあげようか?』
「ベヒモスが?」
『くん。ベヒモスくん』
「あ、うん。ベヒモスくん」
『いいよ。手伝ってあげる』
手伝うって、どうやって?
するとベヒモスくんが温泉にどぶんと飛び込む。
そして――
ずず、ずごごごと地面の下が揺れ始めた。
「ベ、ベヒモスくん??」
『穴を掘っておる』
「え、穴?」
まさかここから集落まで、穴を掘ってくれるって言うのか!?
と思ったらベヒモスくんが温泉からちゃぽんと顔を出した。
『ところで、どこに繋げればいいの?』
そういや集落の場所、知らないんだったな。