「よぉし。じゃあアス、行くぞ」
『ウン。イイヨォ』
前に脚力だけを成長させることに成功した。
ならパワーだけ成長させることも出来るはず――ってことでやってみた。
どのくらいパワーがアップしたのか確かめるために、アスを押してみることに。
いくら子供とはいえ、アスは人間よりデカい。そして重い。
スキルを使う前はビクともしなかった。
「くっ……んぐぐぐぐぐ」
『オ、オッ。ユタカ兄チャン、スコシウゴイテルヨ』
「凄いじゃない!」
「本当に筋力がアップしているのですね」
「はぁ、はぁ……全力で押してもジリジリと動かせる程度か。もう少し成長させてみるかなぁ」
担げるぐらいの力は欲しいよなぁ。
まぁ人間の限界として、可能なのかどうか分からないけれど。
筋力をスキルで成長しようとした時、久々に吹き出しが出て来た。
【身体能力を成長させたいときには、それに必要な行動を行う必要がある】
というものだった。
力を成長させたいなら力を使いながらスキルを使え――みたいなものだ。
重い物を持っている状態とか、そんなやつ。
脚力を成長させた時は、そもそも足を使っていたもんな。それで吹き出しが出なかったんだろう。
「ルーシェ、シェリル。悪いが狩りに行って貰えないだろうか?」
「オーリさん。もう足りなくなりましたか?」
「ドリュー族も増えたし、最近は俺たちも贅沢に食材を使っているからなぁ」
村を出たドリュー族も、幸い全員生きてて無事、ここに移住してきた。
土堀人員も増えて、西側の崖には彼らの住居が次々と完成している。
もっとも、子供たちはツリーハウスを気に入っているようだけど。
「狩りなら俺も行くよ。収納出来るし、一度にたくさん狩れるだろ?」
「助かるよ、ユタカくん。なら大量に塩漬けできるよう、準備をしておこう」
『外ニイクノ!? ボクモイキタイッ』
「アスも? けど外にはモンスターがいるし……」
鱗が生えて自由に動けるようになったから、あちこち走り回りたい……みたいなんだよな。
だけど集落は崖に囲まれていて、走り回れる範囲は決して広くはない。
でも渓谷の外は砂漠だし、大型のモンスターもいるんだよなぁ。
「連れて行ってやればいい。アスも暇してんだろうよ」
「バフォおじさん。連れていけって言ったって、外は危険なんだぞ」
「学びだ、学び。狩りの仕方を教えてやれよ。本当は親が教えるもんだが、そいつには親がいねぇ。面倒みてやるって決めたんだろ」
『マナブ!』
狩りの仕方かぁ。
といってもだ、俺たちとアスとじゃ、狩りの仕方も違うだろうし。
けどまぁ……外の世界も見せてやらなきゃな。
いつか独り立ちできるときになって初めて砂漠に出たんじゃ、余計に危険だろうし。
俺たちが守ってやれるうちに慣れさせた方がいいんだろうな。
「よし、じゃあ行くかアス」
『ヤッター!』
『ナニコレェ、歩キニクゥーイ』
初めて見る砂に、アスは大興奮だった。
歩きにくいといいつつ、砂の上を飛んだり跳ねたり。
「アス。あまり音を立てないでっ」
「音を立てると砂の中に生息しているモンスターが来てしまいます」
『狩リスルナラキテモイインジャナイノ?』
「ここじゃダメ。渓谷を出てすぐでしょ。集落の人たちに危険が及ぶかもしれないじゃない」
「バフォおじさんのお子さんたちもいますしね」
『ソッカァ』
何故――を教えてやれば、アスは素直に聞き入れてくれる。
いい子だ。
夕方から出発して、日が暮れてしばらくしたら野宿の準備に取り掛かる。
種の採取も出来ると分かったし、出し惜しみはしない。
用を快適に過ごし、明け方、太陽が昇る前に出発する。
『アツクナルカラァ?』
「そうよアス」
「集落は渓谷が日陰を作ってくれるから、昼間もそこまで暑くはなりません」
いや、十分暑いよ。
「でも砂漠では日陰がないから、あっという間に灼熱地獄なのよ」
『フゥン。ユタカ兄チャンガ、イッパイ木ヲウエレバイインジャナイノ?』
「そうしたいのはやまやまだけど、俺の魔力じゃ集落の周辺に少し草を生やすので精一杯だよ」
それに成長させた後は自然成長と同じ。
なら、砂漠に木を植えたところで枯れるだけだ。
地底湖から引いた水は、川になって渓谷の外まで流れて入る。
が、砂地までいくと吸収されて、川終了。
短い流れだった。
『ンン。ネェ、ムコウノホウデ人間ノ声ガスルヨ』
「人間の?」
『ナンカネェ、タスケテーッテイッテル』
「誰かがモンスターに襲われているのかもしまれません」
「誰かって、誰が?」
「あんただって襲われてたでしょ」
そうでした。
急いで砂丘を乗り越えると、大きな狼が五匹、壊れた荷車と人を囲んでいるのが見えた。
よく見るとあの狼、毛が生えてないな。
「スケイルウルフよ!」
「ユタカさん、お肉です!」
「え、あれ食えるの?」
そう尋ねると、二人は嬉しそうに笑みを浮かべた。
じゃ、老化させないように一部だけ成長していただきましょうか。
『ウン。イイヨォ』
前に脚力だけを成長させることに成功した。
ならパワーだけ成長させることも出来るはず――ってことでやってみた。
どのくらいパワーがアップしたのか確かめるために、アスを押してみることに。
いくら子供とはいえ、アスは人間よりデカい。そして重い。
スキルを使う前はビクともしなかった。
「くっ……んぐぐぐぐぐ」
『オ、オッ。ユタカ兄チャン、スコシウゴイテルヨ』
「凄いじゃない!」
「本当に筋力がアップしているのですね」
「はぁ、はぁ……全力で押してもジリジリと動かせる程度か。もう少し成長させてみるかなぁ」
担げるぐらいの力は欲しいよなぁ。
まぁ人間の限界として、可能なのかどうか分からないけれど。
筋力をスキルで成長しようとした時、久々に吹き出しが出て来た。
【身体能力を成長させたいときには、それに必要な行動を行う必要がある】
というものだった。
力を成長させたいなら力を使いながらスキルを使え――みたいなものだ。
重い物を持っている状態とか、そんなやつ。
脚力を成長させた時は、そもそも足を使っていたもんな。それで吹き出しが出なかったんだろう。
「ルーシェ、シェリル。悪いが狩りに行って貰えないだろうか?」
「オーリさん。もう足りなくなりましたか?」
「ドリュー族も増えたし、最近は俺たちも贅沢に食材を使っているからなぁ」
村を出たドリュー族も、幸い全員生きてて無事、ここに移住してきた。
土堀人員も増えて、西側の崖には彼らの住居が次々と完成している。
もっとも、子供たちはツリーハウスを気に入っているようだけど。
「狩りなら俺も行くよ。収納出来るし、一度にたくさん狩れるだろ?」
「助かるよ、ユタカくん。なら大量に塩漬けできるよう、準備をしておこう」
『外ニイクノ!? ボクモイキタイッ』
「アスも? けど外にはモンスターがいるし……」
鱗が生えて自由に動けるようになったから、あちこち走り回りたい……みたいなんだよな。
だけど集落は崖に囲まれていて、走り回れる範囲は決して広くはない。
でも渓谷の外は砂漠だし、大型のモンスターもいるんだよなぁ。
「連れて行ってやればいい。アスも暇してんだろうよ」
「バフォおじさん。連れていけって言ったって、外は危険なんだぞ」
「学びだ、学び。狩りの仕方を教えてやれよ。本当は親が教えるもんだが、そいつには親がいねぇ。面倒みてやるって決めたんだろ」
『マナブ!』
狩りの仕方かぁ。
といってもだ、俺たちとアスとじゃ、狩りの仕方も違うだろうし。
けどまぁ……外の世界も見せてやらなきゃな。
いつか独り立ちできるときになって初めて砂漠に出たんじゃ、余計に危険だろうし。
俺たちが守ってやれるうちに慣れさせた方がいいんだろうな。
「よし、じゃあ行くかアス」
『ヤッター!』
『ナニコレェ、歩キニクゥーイ』
初めて見る砂に、アスは大興奮だった。
歩きにくいといいつつ、砂の上を飛んだり跳ねたり。
「アス。あまり音を立てないでっ」
「音を立てると砂の中に生息しているモンスターが来てしまいます」
『狩リスルナラキテモイインジャナイノ?』
「ここじゃダメ。渓谷を出てすぐでしょ。集落の人たちに危険が及ぶかもしれないじゃない」
「バフォおじさんのお子さんたちもいますしね」
『ソッカァ』
何故――を教えてやれば、アスは素直に聞き入れてくれる。
いい子だ。
夕方から出発して、日が暮れてしばらくしたら野宿の準備に取り掛かる。
種の採取も出来ると分かったし、出し惜しみはしない。
用を快適に過ごし、明け方、太陽が昇る前に出発する。
『アツクナルカラァ?』
「そうよアス」
「集落は渓谷が日陰を作ってくれるから、昼間もそこまで暑くはなりません」
いや、十分暑いよ。
「でも砂漠では日陰がないから、あっという間に灼熱地獄なのよ」
『フゥン。ユタカ兄チャンガ、イッパイ木ヲウエレバイインジャナイノ?』
「そうしたいのはやまやまだけど、俺の魔力じゃ集落の周辺に少し草を生やすので精一杯だよ」
それに成長させた後は自然成長と同じ。
なら、砂漠に木を植えたところで枯れるだけだ。
地底湖から引いた水は、川になって渓谷の外まで流れて入る。
が、砂地までいくと吸収されて、川終了。
短い流れだった。
『ンン。ネェ、ムコウノホウデ人間ノ声ガスルヨ』
「人間の?」
『ナンカネェ、タスケテーッテイッテル』
「誰かがモンスターに襲われているのかもしまれません」
「誰かって、誰が?」
「あんただって襲われてたでしょ」
そうでした。
急いで砂丘を乗り越えると、大きな狼が五匹、壊れた荷車と人を囲んでいるのが見えた。
よく見るとあの狼、毛が生えてないな。
「スケイルウルフよ!」
「ユタカさん、お肉です!」
「え、あれ食えるの?」
そう尋ねると、二人は嬉しそうに笑みを浮かべた。
じゃ、老化させないように一部だけ成長していただきましょうか。