「木を目印に探してくれたモグか!」
「もぐもぐ。ん、そうだ。桃色の、わしらのようなかわいい花をつけた木を見つけてモグな」
「そしたら急に花のない木が見えて、もしかしてと思ってこっちに来たモグ」

 さり気なく、自分たちのようなかわいい……って言ったな。
 自分たちがかわいい種族だという認識は、ドリュー族共通なのかもしれない。

 ツリーハウス内も含めて、二家族のドリュー族がいた。
 四人家族と五人家族、合計九人だ。
 全員空腹で、聞けば子供は昨日の朝から、そして大人たちは丸二日間何も食べていないんだとか。
 
 すぐに野菜を成長させて、ふかし芋とスープを作って振舞った。
 んー、ふかし芋は追加した方がよさそうだな。

「他は? みんな逸れたモグか?」
「あぁ。みんな散り散りになってしまったモグ。家族と逸れないよう、逃げるので必死だったモグよ」
「わしらはすぐに合流出来たモグ。他のみんなを探してあちこち歩いたモグが、途中であの、わしらのようにかわいい木を見つけたモグ」
「そうモグか。あの木はこちらのユタカくんが目印にと、成長させてくれたモグ」

 食事中のドリュー族が一斉に俺を見る。
 自分で自分のことをかわいいとかいうヤツは痛々しいなって思うけど……あぁ、やべぇ。かわいいよこいつら。

「ど、どうも。ユタカです」
「どうもどうも。わしはオースティン。こっちは妻のウィンディで、息子のコニー。娘のマリルですモグ」
「わしはクリント。妻のラーナに長男のクリフ。そっちが次男でリト。末娘のナーシャですモグよ。トレバー一家を助けてくださって、ありがとうございますモグ」

 どうやらドリュー族の語尾につく言葉は、性別や年齢で固定なのかもしれない。
 なんて考えている間にも、彼らはこれまでのお互いのことを話し合った。

 そしてこの流れで――

「ならわしらも手伝うモグ」
「あぁ、水はどの種族でも大切モグ。ここの地下に水があるなら、わしらが地下道を掘って集落まで届けるモグよ!」

 オースティン、クリントの二人が胸をどんっと叩き、協力を申し出てくれた。
 これはありがたい。
 トレバーひとりだと数日かかるかもってことだったが、ドリュー族三人ならもっと早く終わるかもしれない。
 
「けど、まずは集落まで行こう。奥さんや子供たちには、安全な場所にいて貰った方がいいだろう? トミーの遊び友達も必要だし」

 ってことで、一晩ここで休んで翌日は集落へ向かった。

 トミーは既に集落の子供たちとも仲良くなっているが、やっぱり見知った顔の友人が来て喜んだ。
 人間側の集落の人にも紹介をし、本格的に二種族の共同生活が始まった。

 一気に人口が増えた。
 水がピンチだ。
 とりあえず水の木を増やしてなんとかしのぐしかない。

 人手……というかドリュー手が増えたことで、さっそく地下空洞を調べに戻る。
 その前に――

「へぇ、こんな穴があったのか」
「私たちも知りませんでした。でも考えてみれば水が出ているのですから、当たり前ですよね」

 崖から水が出てきている場所を見てみると、横に細長い穴が開いていた。
 ちょうど真ん中あたりが窪みになっているから、今はそこからしか水が出ていない。
 もっと昔は、この穴全体から水が出ていたのかも。

 ドリュー族が「水が染み出ている」のか「穴を通って流れてきているのか」知りたいということで確認してから出発。

「穴を通って流れてきているモグから、地下に水の通り道があるモグよ」
「途中で穴が塞がってしまったモグだろうなぁ」
「なるほど。その塞がった箇所を開通させれば――」
「モグ。また水が流れてくるモグね」

 希望が湧いて来た。

 ツリーハウスのところまで行くと、さっそくトレバー、オースティン、クリントの三人が穴を掘り始める。
 下の方は空洞ってことで、そうじゃない場所から坂道を掘るようにして進んで行った。
 その間、俺たちは暇だ。
 彼らがモンスターに襲われないよう、護衛のために一緒に来ているけど、なんせ三人は穴の中だ。
 襲って来るモンスターもいない。
 むしろ俺たちが襲われる。まぁ即行で倒すんだけどさ。

「今晩のおかずが出来たわね」
「シャッコーマじゃないのが残念ですが」

 仕留めたのは蛇っぽいモンスターだ。前脚があるけど。
 蛇の肉は鶏っぽいというし、唐揚げにしてみるかなぁ。

 ぼぉっとしてるのもなんだし、ツリーハウスを拡張して種を採取。
 それから野菜を成長させて食料も確保した。





「んん~、おいひぃ」
「もぐ。ん、このからあげなるもの、本当に美味いモグな」

 蛇の唐揚げレシピは簡単。
 塩コショウと片栗粉をまぶして揚げるだけ。
 片栗粉はじゃがいもから作った物だ。

 唐揚げと新鮮サラダ、いつものコンソメスープにナン。
 スープにバリエーションが欲しいところだけど、牛乳があればなぁ。
 調味料の木には、さすがに生らなかったし。

「ユタカさん、どうなさいましたか?」
「ん、いや、牛乳があればシチューとかも作れたのになぁと思って」
「しちゅー? 何それ、聞いただけで美味しそうなんだけど」

 いや、名前しか言ってないじゃないか。

「そもそもぎゅーにゅーって、何でしょう?」
「そこか……そこから説明しなきゃいけないのか。んー、牛って分かる? 動物なんだけど。雌の牛から採れる乳のことなんだ」

 乳――と聞いて、ルーシェとシェリルの二人が頬を染めた。
 や、変な意味じゃないから!

「お乳? 山羊のお乳なら知っているモグが」
「牛というのは知らないモグな」
「山羊がいるのか!?」
「山に」

 とトレバーが背後の山を指さす。
 野生のヤギかよ!

 いや、山羊でも十分だ。
 欲しい。
 絶対に欲しい!

「お乳は草と交換でくれるモグよ」

 ……ん?

「欲しいものがあれば、相手の欲しいものと交換する。それが砂漠では当たり前モグからね」
「い、いや、山羊相手に物々交換?」
「そうモグよ」

 山羊と物々交換って……そんなことあり得るのか!?