「俺と山田が錬金で被ってるんだけどさ、いろいろポーションとか作れるよ」
「ポーションって薬か?」
「そうそう。ゲームみたいにHPっていうか、傷を治すのとか毒消しとか」
「ドラッグストアで買えるような薬なら、だいたい作れるぜ」
クラスメイトのスキルを一通り教えて貰った。
戦闘系スキル持ちが四人。そのうち一人は神官ポジションで、回復魔法だという。
残り五人は、錬金術が二人、鍛冶職人、木工職人、そしてクラフトだ。
戦闘スキル持ちは戦闘が怖くて、あんまり使ってなかったらしい。
けど生産スキルの五人は、アリアンヌ王女がいた時には無理やり働かされていたからいろいろできるようになったと。
今じゃ簡単にいろいろ作れるもんだから、面白くて好きでやってるってさ。
「薬が作れるのか。かなり有難いな。俺がいるとこって、医者がいないんだよ」
「それって大変じゃん。なんでも作るぜ」
「けどやっぱり医者はいた方がいい。俺たちさ、薬は作れても診断はできないから」
そうなるよなぁ。
町にも医者はいるが、病人が出るたびに町まで運ぶのは大変だし、来て貰うのももちろん大変だ。
こっちにはフレイがいるから一瞬で行けるけど、フレイに頼ってばかりじゃダメだ。
フレイに「俺が死んだら、フレイはどうする?」と聞いたことがある。
その時には人里で暮らすのはやめて、アクアディーネの聖域がある辺りでアスと暮らすと言っていた。
俺が死んだ先まで村の面倒をみてくれなんて、言えないしな。
「医者が必要なのかい?」
「レイナルド王子。必要じゃないとは、言えないですよ」
「そうだね。我が国の医師を連れて来てやりたいところだが……砂漠で暮らすとなると行きたがる者も……」
「いえ、その気持ちだけで十分です」
そりゃそうだ。一年前に比べればだいぶん気温も下がったし、水の心配もなくなったとはいえ、暑いものは暑い。
好んで砂漠に来る人はいないだろう。
「そうだ。こういうのはどうだろうか?」
レイナルド王子が笑みを浮かべてそう言った。
「"成長促進"。――このぐらいでいいかな」
「「おぉぉー」」
鍛冶の鈴木、錬金の山田、木工の高木の三人は、ホープ村に来てもらった。
他六人は砂漠の村だ。あっちにも錬金の薬師寺、クラフトの横山がいる。村の発展に貢献してくれるだろう。
というか貢献させる。
戦闘系の四人には、村の衛兵になってもらう。
とはいえ、砂漠の村にも戦士がたくさんいるから、普段は畑仕事に従事してもらうことになるだろう。
回復スキル持ちの上本は小学校の時に飼育員だったらしいから、鶏の世話で活躍してくれそう。
砂漠の村でツリーハウスを成長させ、みんなの家を用意。
三人で一軒だ。ひとり暮らしより、その方がいいだろう。
町で再会した時、いろいろ話してたけど……「俺たちもう、帰れないんだよな」と寂しそうに話していた。
俺と違ってこいつらには日本に家族がいる。帰りをまっている人がいる。
王子にも聞いてみたけど、これまで異世界人が元の世界に戻れたという話は――ない、らしい。
その時も九人は溜息吐いたり、俯いたり……。
こんなのひとりにさせたらダメだよな。
「じゃあハクト、こいつらのことよろしく頼むよ」
「あぁ。お前の同郷なら、俺たちにとっては友人だ。こんな砂漠に来てくれたんだ、歓迎するさ」
望んで来たんじゃないけど、安心して暮らせる場所ぐらいは作ってやりたい。
「それとさっきの件だが、二、三日のうちに決めるよ」
「あぁ。また三日後に来るよ。じゃ、お前ら、村の人に迷惑かけるなよ」
と小林たちに言って、砂船に乗り込んだ。
船には山田たちと、それに――
「次は君たちの村か。どんな村なのか、楽しみだ」
レイナルド王子一行が乗船していた。
フレイが抱える砂船に乗ってははしゃぎ、空に舞えばはしゃぎ……王子様とは思えないはしゃぎっぷりだった。
村に戻ってきたら、まずは王子の紹介。
といっても、王族だってのは内緒で。まぁ話したところで、王子ってなに? って言われそうだけどな。
それから山田たちを紹介して、こいつらの家になるツリーハウスを成長。
で、ここからが本題だ。
夕方、涼しくなってきたからみんなに集まってもらった。
いや、集まっていた。レイナルド王子や山田たちの歓迎会をするんだって言って。
そこで王子がみんなに伝えたのが――
「この村には医師がいないと聞きました。内陸からこの地に医師を移り住まわせることもできなくはないが、それよりも、ここで暮らす人に医学を学んでもらうのもひとつの手段ではないかと思うのです。誰か、医学を学ぼうという者はいないだろうか? できれば若い世代にも学んでほしいと思っています」
医者を連れてくるより、村の人が医者になるという提案だった。
「ポーションって薬か?」
「そうそう。ゲームみたいにHPっていうか、傷を治すのとか毒消しとか」
「ドラッグストアで買えるような薬なら、だいたい作れるぜ」
クラスメイトのスキルを一通り教えて貰った。
戦闘系スキル持ちが四人。そのうち一人は神官ポジションで、回復魔法だという。
残り五人は、錬金術が二人、鍛冶職人、木工職人、そしてクラフトだ。
戦闘スキル持ちは戦闘が怖くて、あんまり使ってなかったらしい。
けど生産スキルの五人は、アリアンヌ王女がいた時には無理やり働かされていたからいろいろできるようになったと。
今じゃ簡単にいろいろ作れるもんだから、面白くて好きでやってるってさ。
「薬が作れるのか。かなり有難いな。俺がいるとこって、医者がいないんだよ」
「それって大変じゃん。なんでも作るぜ」
「けどやっぱり医者はいた方がいい。俺たちさ、薬は作れても診断はできないから」
そうなるよなぁ。
町にも医者はいるが、病人が出るたびに町まで運ぶのは大変だし、来て貰うのももちろん大変だ。
こっちにはフレイがいるから一瞬で行けるけど、フレイに頼ってばかりじゃダメだ。
フレイに「俺が死んだら、フレイはどうする?」と聞いたことがある。
その時には人里で暮らすのはやめて、アクアディーネの聖域がある辺りでアスと暮らすと言っていた。
俺が死んだ先まで村の面倒をみてくれなんて、言えないしな。
「医者が必要なのかい?」
「レイナルド王子。必要じゃないとは、言えないですよ」
「そうだね。我が国の医師を連れて来てやりたいところだが……砂漠で暮らすとなると行きたがる者も……」
「いえ、その気持ちだけで十分です」
そりゃそうだ。一年前に比べればだいぶん気温も下がったし、水の心配もなくなったとはいえ、暑いものは暑い。
好んで砂漠に来る人はいないだろう。
「そうだ。こういうのはどうだろうか?」
レイナルド王子が笑みを浮かべてそう言った。
「"成長促進"。――このぐらいでいいかな」
「「おぉぉー」」
鍛冶の鈴木、錬金の山田、木工の高木の三人は、ホープ村に来てもらった。
他六人は砂漠の村だ。あっちにも錬金の薬師寺、クラフトの横山がいる。村の発展に貢献してくれるだろう。
というか貢献させる。
戦闘系の四人には、村の衛兵になってもらう。
とはいえ、砂漠の村にも戦士がたくさんいるから、普段は畑仕事に従事してもらうことになるだろう。
回復スキル持ちの上本は小学校の時に飼育員だったらしいから、鶏の世話で活躍してくれそう。
砂漠の村でツリーハウスを成長させ、みんなの家を用意。
三人で一軒だ。ひとり暮らしより、その方がいいだろう。
町で再会した時、いろいろ話してたけど……「俺たちもう、帰れないんだよな」と寂しそうに話していた。
俺と違ってこいつらには日本に家族がいる。帰りをまっている人がいる。
王子にも聞いてみたけど、これまで異世界人が元の世界に戻れたという話は――ない、らしい。
その時も九人は溜息吐いたり、俯いたり……。
こんなのひとりにさせたらダメだよな。
「じゃあハクト、こいつらのことよろしく頼むよ」
「あぁ。お前の同郷なら、俺たちにとっては友人だ。こんな砂漠に来てくれたんだ、歓迎するさ」
望んで来たんじゃないけど、安心して暮らせる場所ぐらいは作ってやりたい。
「それとさっきの件だが、二、三日のうちに決めるよ」
「あぁ。また三日後に来るよ。じゃ、お前ら、村の人に迷惑かけるなよ」
と小林たちに言って、砂船に乗り込んだ。
船には山田たちと、それに――
「次は君たちの村か。どんな村なのか、楽しみだ」
レイナルド王子一行が乗船していた。
フレイが抱える砂船に乗ってははしゃぎ、空に舞えばはしゃぎ……王子様とは思えないはしゃぎっぷりだった。
村に戻ってきたら、まずは王子の紹介。
といっても、王族だってのは内緒で。まぁ話したところで、王子ってなに? って言われそうだけどな。
それから山田たちを紹介して、こいつらの家になるツリーハウスを成長。
で、ここからが本題だ。
夕方、涼しくなってきたからみんなに集まってもらった。
いや、集まっていた。レイナルド王子や山田たちの歓迎会をするんだって言って。
そこで王子がみんなに伝えたのが――
「この村には医師がいないと聞きました。内陸からこの地に医師を移り住まわせることもできなくはないが、それよりも、ここで暮らす人に医学を学んでもらうのもひとつの手段ではないかと思うのです。誰か、医学を学ぼうという者はいないだろうか? できれば若い世代にも学んでほしいと思っています」
医者を連れてくるより、村の人が医者になるという提案だった。


