『フハハハハハハハハハ。ワシ、復活!』
あー、やっぱり大きくなった。頭の炎も伸びて、疑いの余地もないモヒカンスタイルになった。
あと、暑い。いや、熱い?
まぁどっちでもいい。あついことに変わりはないんだから。
『暑イオジチャン、ボクト契約シテクレル?』
ドリュー族直伝、ボクかわいいを発動させたアスは、小首をこてんと傾げてイフリートを見上げる。
俺たちは暑くてイフリートから少し離れた。
「アスは暑くないのかしら?」
『自分が火竜の子であることを自覚してから、一気に炎の耐性が上がったようだ』
「では、アスちゃんは大地と炎の二属性になったのですね」
『そだねー』
二属性の耐性持ちドラゴンとか、ヘタすると親より強いんじゃ。
まぁそれは何百年も先の話だろうけど。
イフリートはじぃーっとアスを見ている。
モヒカンの強面がかわいい子供を睨んでいるような、そんな構図だ。
『……まぁ……約束だからな。しっかーし! 坊主、お前がワシと契約した精霊使い野郎より魔力が劣っていれば、契約はできねーからな』
『ウン。ジャ、契約シヨウ』
『人間ども、離れていた方がいいぞ。焼け死ぬからな』
『我が運んでやろう』
ひえぇー。
離れた場所にフレイが運んでくれる。
遠くからでも見えるようにって、岩山に下ろしてくれた。
フレイが戻っていくと、巨大な火柱が出現。
「ア、アスちゃん大丈夫なのでしょうか?」
『大丈夫だよ。火竜は溶岩にも耐えるしね』
『混血だから溶岩には耐えられないだろう』
怖いこと言うなよ……。
でも俺たちには見ていることしかできない。あそこへ行けば、イフリートが言ったように焼け死ぬのがわかりきっているから。
頑張れよ、アス。
『エッヘン』
『さすがは我が息子』
『ウオオオォォォォォォォォォォォォォ。解放されたぞおおぉぉぉぉぉぉ』
契約は無事に上書きされたらしい。
ユユたちと違って、一時間ぐらい掛かっていた。
にしても、暑っ苦しい奴だなぁ。
ゴリラのドラミングみたいなポーズをして、高く舞い上がってはボォーっと燃え、雄たけびを上げる。
「あっつい!」
「燃えちゃう、燃えちゃうわよっ」
『イフオジチャン、メッ』
『お、悪かったな』
しゅるしゅると縮んだイフリートが戻ってくる。
イフ……おじちゃん……。
『で、ワシに何を望むんだ?』
『ンットネェ、ミンナ暑ガッテルノ。ダカラ熱ヲ下ゲテ欲シイノ』
『つまり力を緩めろってことか。それとも完全になくすか?』
『ンー……』
アスは首を傾げて俺を見る。
「完全だと寒くなり過ぎたり、火が使えなくなったりするからダメだ。そうだなぁ……全ての精霊力がバランスよく働くようになるといいのかな」
『バランスダネ。ウン、ワカッタ。大精霊サンノ精霊力ガバランスヨクナルヨウニシテ』
『バランスよくか。アクアディーネよりワシのほうが強いのだが、ここはワシが加減してやるとするか』
ここにアクアディーネがいなくてよかったよ。
たぶん今の一言で激おこプンプンになっただろうな。
『ふぅーーぅぅぅ……は!』
なんだ、あのポーズ。
まるでオラに元気を~みたいな。
『力を抑えた。いや、精霊使い野郎に契約させられる前に戻したと言うべきか』
『これで少しずつ、気温が下がってくるはずだよ』
『だがここはもとより気温の高い地域だ。平地で雪が降るなんてことは今後もないだろう』
『だね。前も言ったけど、一番寒い時期でも十℃ぐらいはあるよ』
むしろ寒くても十℃あるって、過ごしやすいから歓迎だ。
これまでは一番暑いと、五十℃に迫る勢いだったらしい。日中は外に出れなかったわけだ。
おかげで朝、早く起きるのが定着してしまって、昼になると眠くなる体になってるんだよなぁ。
だけどこれからは緩やかに気温が下がっていき、夏場でも三十二、三℃に落ち着くだろうって。
もしかすると日本より過ごしやすくなるんじゃないのか?
「アス、ありがとうな」
『エヘヘ』
「ん? なんかアスの鱗……赤い部分の面積が増えてないか?」
「本当ですね」
『それはワシと契約したことで、炎の属性が増したからだろう』
へぇ……ん?
「お前はまた小さくなったな」
『大きい方がお好みなら――』
「いやいいよ、そのままで」
大きさはノームぐらいになっている。でもモヒカンだ。
「さ、帰ろう。これから少しずつ涼しくなっていくって、みんなにも教えてやらないとな」
「そうね。今より涼しくなるなら、野菜の育ちももっと良くなるかしら」
「なりますよ。今までは数週間で収穫できるようにってユタカさんがスキルをかけてくださった野菜は、何割かは枯れてしまっていましたが」
「あぁ、気温が下がれば枯れる率も減るだろう。自然栽培も本格的にできるようになるし」
牧場の草も枯れなくなれば、数日おきに種まきをする必要もなくなってくる。
雨のあと、蒸発する水が減れば雑草の成長もよくなる。
いいことづくめだ。
緑化計画、本当のスタートはこれからだな。
あー、やっぱり大きくなった。頭の炎も伸びて、疑いの余地もないモヒカンスタイルになった。
あと、暑い。いや、熱い?
まぁどっちでもいい。あついことに変わりはないんだから。
『暑イオジチャン、ボクト契約シテクレル?』
ドリュー族直伝、ボクかわいいを発動させたアスは、小首をこてんと傾げてイフリートを見上げる。
俺たちは暑くてイフリートから少し離れた。
「アスは暑くないのかしら?」
『自分が火竜の子であることを自覚してから、一気に炎の耐性が上がったようだ』
「では、アスちゃんは大地と炎の二属性になったのですね」
『そだねー』
二属性の耐性持ちドラゴンとか、ヘタすると親より強いんじゃ。
まぁそれは何百年も先の話だろうけど。
イフリートはじぃーっとアスを見ている。
モヒカンの強面がかわいい子供を睨んでいるような、そんな構図だ。
『……まぁ……約束だからな。しっかーし! 坊主、お前がワシと契約した精霊使い野郎より魔力が劣っていれば、契約はできねーからな』
『ウン。ジャ、契約シヨウ』
『人間ども、離れていた方がいいぞ。焼け死ぬからな』
『我が運んでやろう』
ひえぇー。
離れた場所にフレイが運んでくれる。
遠くからでも見えるようにって、岩山に下ろしてくれた。
フレイが戻っていくと、巨大な火柱が出現。
「ア、アスちゃん大丈夫なのでしょうか?」
『大丈夫だよ。火竜は溶岩にも耐えるしね』
『混血だから溶岩には耐えられないだろう』
怖いこと言うなよ……。
でも俺たちには見ていることしかできない。あそこへ行けば、イフリートが言ったように焼け死ぬのがわかりきっているから。
頑張れよ、アス。
『エッヘン』
『さすがは我が息子』
『ウオオオォォォォォォォォォォォォォ。解放されたぞおおぉぉぉぉぉぉ』
契約は無事に上書きされたらしい。
ユユたちと違って、一時間ぐらい掛かっていた。
にしても、暑っ苦しい奴だなぁ。
ゴリラのドラミングみたいなポーズをして、高く舞い上がってはボォーっと燃え、雄たけびを上げる。
「あっつい!」
「燃えちゃう、燃えちゃうわよっ」
『イフオジチャン、メッ』
『お、悪かったな』
しゅるしゅると縮んだイフリートが戻ってくる。
イフ……おじちゃん……。
『で、ワシに何を望むんだ?』
『ンットネェ、ミンナ暑ガッテルノ。ダカラ熱ヲ下ゲテ欲シイノ』
『つまり力を緩めろってことか。それとも完全になくすか?』
『ンー……』
アスは首を傾げて俺を見る。
「完全だと寒くなり過ぎたり、火が使えなくなったりするからダメだ。そうだなぁ……全ての精霊力がバランスよく働くようになるといいのかな」
『バランスダネ。ウン、ワカッタ。大精霊サンノ精霊力ガバランスヨクナルヨウニシテ』
『バランスよくか。アクアディーネよりワシのほうが強いのだが、ここはワシが加減してやるとするか』
ここにアクアディーネがいなくてよかったよ。
たぶん今の一言で激おこプンプンになっただろうな。
『ふぅーーぅぅぅ……は!』
なんだ、あのポーズ。
まるでオラに元気を~みたいな。
『力を抑えた。いや、精霊使い野郎に契約させられる前に戻したと言うべきか』
『これで少しずつ、気温が下がってくるはずだよ』
『だがここはもとより気温の高い地域だ。平地で雪が降るなんてことは今後もないだろう』
『だね。前も言ったけど、一番寒い時期でも十℃ぐらいはあるよ』
むしろ寒くても十℃あるって、過ごしやすいから歓迎だ。
これまでは一番暑いと、五十℃に迫る勢いだったらしい。日中は外に出れなかったわけだ。
おかげで朝、早く起きるのが定着してしまって、昼になると眠くなる体になってるんだよなぁ。
だけどこれからは緩やかに気温が下がっていき、夏場でも三十二、三℃に落ち着くだろうって。
もしかすると日本より過ごしやすくなるんじゃないのか?
「アス、ありがとうな」
『エヘヘ』
「ん? なんかアスの鱗……赤い部分の面積が増えてないか?」
「本当ですね」
『それはワシと契約したことで、炎の属性が増したからだろう』
へぇ……ん?
「お前はまた小さくなったな」
『大きい方がお好みなら――』
「いやいいよ、そのままで」
大きさはノームぐらいになっている。でもモヒカンだ。
「さ、帰ろう。これから少しずつ涼しくなっていくって、みんなにも教えてやらないとな」
「そうね。今より涼しくなるなら、野菜の育ちももっと良くなるかしら」
「なりますよ。今までは数週間で収穫できるようにってユタカさんがスキルをかけてくださった野菜は、何割かは枯れてしまっていましたが」
「あぁ、気温が下がれば枯れる率も減るだろう。自然栽培も本格的にできるようになるし」
牧場の草も枯れなくなれば、数日おきに種まきをする必要もなくなってくる。
雨のあと、蒸発する水が減れば雑草の成長もよくなる。
いいことづくめだ。
緑化計画、本当のスタートはこれからだな。


