「お疲れ様でーす」
「お、ユタカの旦那じゃねえか。いいところに来たぜ。用意して貰ってた木材がそろそろなくなるんだがよぉ」
「だろうと思ったよ。もちろん、追加を持ってきたさ」
町に到着すると、バフォおじさんとフレイは水没神殿の方へと向かった。
大丈夫かな、バフォおじさん。野生のヤギと間違われて狩られたり……いやまぁ、バフォメットを狩れる人間なんて、早々いないだろうけど。
むしろ冒険者の命の危険のほうがあるのか……。
そんで俺たちは作業場に直行。
「あー、どうせ丸太を出すなら、海岸に作った作業場の方に頼めないか?」
「お、もう出来たんだ?」
「まぁ簡単なもんだがな」
「わしらもこれから向かうとこだ。一緒に荷車に乗っていくか?」
「お、じゃあお願いしまーす」
ってことで、俺たちは港になる海岸の方へ向かうことになった。
その前に屋台で弁当を買っておく。
「お前たちは何食べるか決めたか?」
『うーん。うぅーん……』
『ユタカオ兄チャン、レタスアル?』
「種はあるぞ」
『ジャ、ボクアレ食ベテミタイ』
アスが指さしたのはパン屋の屋台だ。
え……まさかパンをレタスで巻いて食べる気か?
いやでも、サンドイッチとかレタスも挟んだりしてるもんな。
アスの場合はレタスの割合が極端に多くなるだけだ。うん。
ついでだし、ソーセージも挟んでやるか。
「ユユたちはどうすんだぁ?」
『んんー、決めた! ボクあれにするぅ』
「あれ? んー、お、ピザか」
パン生地に何かを乗せて焼いた料理っていうのは、結構多い。
てっとり早く食べられるからっていう理由らしい。
「ルルとリリは?」
「ルルはサンドイッチがいいそうです」
「リリはユユと同じでピザなんだって。果物のヤツがいいのよね」
『△☆♪』
ワームに性別はないって話だけど、やっぱりユユは男の子っぽくて、ルルとリリは女の子っぽい。
そんな話をマリウスとしたら、テイミングモンスターは主に似てくる――そうだ。
主が男だから、男寄りになっていってるんだろうって。
そのうち性別がハッキリすることってあるんだろうか。
俺たちの弁当と、それから作業員へのお土産に軽くつまめるものを大量に購入。
一つの屋台では数が揃わないから何軒も梯子して、逆に屋台の人から「うちで買って行ってくれよ」と頼まれるほど。
買い物ができなかった屋台には、帰りに村のみんな用にお土産買うからその時にと約束して作業場へと戻る。
「戻りましたーって、どうしたんです?」
なんか大工のおじさんたちが、溜息を吐きながら荷物の準備をしている。
さっきまで元気だったのに、なんかその元気もない。
「あー、実はな、荷車を引かせる馬の体調がよくないらしくてな」
「どうも朝に食わせたもんがあたったみてぇなんだ」
「つまり……一頭じゃなくって全部?」
そう尋ねると、おっちゃんたちが頷く。
マジかー。
カットした木材の数はそう多くないけど、大工道具なんかを全部向こうに移す予定だったようで、その辺の荷物が多い。
それを担いでいくのか。ちょっとこりゃ大変だなぁ。
あ、道具は俺のインベントリに入れればいいのか。
ただ、人は入れられない。全員で歩いて行かなきゃな。
『お馬さんはこれを引っ張るの?』
「あぁ、そうだ」
ユユが荷車を興味津々な様子で見ている。
『ボク引っ張る?』
「え? お前、荷車引けるのか?」
『わかんない』
「わかんないかぁ」
ワームが荷車を引く……いけ、なくもないかも?
「おっちゃん。この荷車引くやつ、ワームに合せてられる?」
「なんでぇ、ユタカの旦那んとこのが引いてくれるのか?」
「なんか引っ張ってみたいらしい。やったことないから、引けるかわかんないけど」
「ちょっと待ってな。ベルトを少しいじって……」
さくが大工。十分ほどでベルトを調整して、ユユが引けるようにしてくれた。
なんせ胴が長いから、本来馬が付けるベルトは尾に近い位置で固定。それとは別に胴の真ん中あたりと、あと馬のように顔で固定するベルトを追加したものだ。
「ゆっくりなぁ」
『はぁ~い』
お、動いてるな。思ったよりスムーズだ。
『もっと早く動けるよぉ』
「おぉ、もう少しスピード出してもいいぞ」
『は~い』
途端、ぐんっとスピードが上がる。
スピードは上がっても振動はそんなにない。
「こりゃ早いな。馬より早いんじゃないか?」
「あの、ルルとリリもお手伝いすると言っています」
「この子たち、誰かがやると必ず真似したがるのよね」
『ボ、ボクモっ』
「アスくんも?」
アスは……どうかなぁ。早く歩くの苦手だろう。
すぐにベルトの改造が始まり、アスにも荷物だけを乗せた、少しい小さめの荷車が装着された。
大丈夫かなぁ、アス。
それとなくユユに話して、アスの歩く速度に合わせてやってくれと頼んでおいた。
そして――
「出発するぞ~」
『は~い』
『イックゾォォォォ。ガオォー』
はっはっは。がおーって、まったく、アスはかわいいなぁ……んな!?
ドドドドドドドドドドッと地面を轟かせ、砂煙を上げて荷車が突進していく。
ちょ、待って。
え?
「アスウゥゥゥー!!」
四足歩行姿勢で駆けていくアス。
え?
早すぎない?
え?
ええぇぇぇー!?
「お、ユタカの旦那じゃねえか。いいところに来たぜ。用意して貰ってた木材がそろそろなくなるんだがよぉ」
「だろうと思ったよ。もちろん、追加を持ってきたさ」
町に到着すると、バフォおじさんとフレイは水没神殿の方へと向かった。
大丈夫かな、バフォおじさん。野生のヤギと間違われて狩られたり……いやまぁ、バフォメットを狩れる人間なんて、早々いないだろうけど。
むしろ冒険者の命の危険のほうがあるのか……。
そんで俺たちは作業場に直行。
「あー、どうせ丸太を出すなら、海岸に作った作業場の方に頼めないか?」
「お、もう出来たんだ?」
「まぁ簡単なもんだがな」
「わしらもこれから向かうとこだ。一緒に荷車に乗っていくか?」
「お、じゃあお願いしまーす」
ってことで、俺たちは港になる海岸の方へ向かうことになった。
その前に屋台で弁当を買っておく。
「お前たちは何食べるか決めたか?」
『うーん。うぅーん……』
『ユタカオ兄チャン、レタスアル?』
「種はあるぞ」
『ジャ、ボクアレ食ベテミタイ』
アスが指さしたのはパン屋の屋台だ。
え……まさかパンをレタスで巻いて食べる気か?
いやでも、サンドイッチとかレタスも挟んだりしてるもんな。
アスの場合はレタスの割合が極端に多くなるだけだ。うん。
ついでだし、ソーセージも挟んでやるか。
「ユユたちはどうすんだぁ?」
『んんー、決めた! ボクあれにするぅ』
「あれ? んー、お、ピザか」
パン生地に何かを乗せて焼いた料理っていうのは、結構多い。
てっとり早く食べられるからっていう理由らしい。
「ルルとリリは?」
「ルルはサンドイッチがいいそうです」
「リリはユユと同じでピザなんだって。果物のヤツがいいのよね」
『△☆♪』
ワームに性別はないって話だけど、やっぱりユユは男の子っぽくて、ルルとリリは女の子っぽい。
そんな話をマリウスとしたら、テイミングモンスターは主に似てくる――そうだ。
主が男だから、男寄りになっていってるんだろうって。
そのうち性別がハッキリすることってあるんだろうか。
俺たちの弁当と、それから作業員へのお土産に軽くつまめるものを大量に購入。
一つの屋台では数が揃わないから何軒も梯子して、逆に屋台の人から「うちで買って行ってくれよ」と頼まれるほど。
買い物ができなかった屋台には、帰りに村のみんな用にお土産買うからその時にと約束して作業場へと戻る。
「戻りましたーって、どうしたんです?」
なんか大工のおじさんたちが、溜息を吐きながら荷物の準備をしている。
さっきまで元気だったのに、なんかその元気もない。
「あー、実はな、荷車を引かせる馬の体調がよくないらしくてな」
「どうも朝に食わせたもんがあたったみてぇなんだ」
「つまり……一頭じゃなくって全部?」
そう尋ねると、おっちゃんたちが頷く。
マジかー。
カットした木材の数はそう多くないけど、大工道具なんかを全部向こうに移す予定だったようで、その辺の荷物が多い。
それを担いでいくのか。ちょっとこりゃ大変だなぁ。
あ、道具は俺のインベントリに入れればいいのか。
ただ、人は入れられない。全員で歩いて行かなきゃな。
『お馬さんはこれを引っ張るの?』
「あぁ、そうだ」
ユユが荷車を興味津々な様子で見ている。
『ボク引っ張る?』
「え? お前、荷車引けるのか?」
『わかんない』
「わかんないかぁ」
ワームが荷車を引く……いけ、なくもないかも?
「おっちゃん。この荷車引くやつ、ワームに合せてられる?」
「なんでぇ、ユタカの旦那んとこのが引いてくれるのか?」
「なんか引っ張ってみたいらしい。やったことないから、引けるかわかんないけど」
「ちょっと待ってな。ベルトを少しいじって……」
さくが大工。十分ほどでベルトを調整して、ユユが引けるようにしてくれた。
なんせ胴が長いから、本来馬が付けるベルトは尾に近い位置で固定。それとは別に胴の真ん中あたりと、あと馬のように顔で固定するベルトを追加したものだ。
「ゆっくりなぁ」
『はぁ~い』
お、動いてるな。思ったよりスムーズだ。
『もっと早く動けるよぉ』
「おぉ、もう少しスピード出してもいいぞ」
『は~い』
途端、ぐんっとスピードが上がる。
スピードは上がっても振動はそんなにない。
「こりゃ早いな。馬より早いんじゃないか?」
「あの、ルルとリリもお手伝いすると言っています」
「この子たち、誰かがやると必ず真似したがるのよね」
『ボ、ボクモっ』
「アスくんも?」
アスは……どうかなぁ。早く歩くの苦手だろう。
すぐにベルトの改造が始まり、アスにも荷物だけを乗せた、少しい小さめの荷車が装着された。
大丈夫かなぁ、アス。
それとなくユユに話して、アスの歩く速度に合わせてやってくれと頼んでおいた。
そして――
「出発するぞ~」
『は~い』
『イックゾォォォォ。ガオォー』
はっはっは。がおーって、まったく、アスはかわいいなぁ……んな!?
ドドドドドドドドドドッと地面を轟かせ、砂煙を上げて荷車が突進していく。
ちょ、待って。
え?
「アスウゥゥゥー!!」
四足歩行姿勢で駆けていくアス。
え?
早すぎない?
え?
ええぇぇぇー!?


