「ん? お前だけ収穫されなかったのか」
野菜を収穫し終えたら、枯らしてから燃やす。肥料にするためだ。
そのために追加成長をさせようとしたら、緑色の小さなトマトが一つだけ残っていた。
小さすぎて気づかれなかったのかもしれない。
このトマト、一昨日成長させたやつだから、早くも枯れ始めているんだよな。
まぁこの暑さだし、仕方ない。
しかも夜は逆に寒いしな。一日の寒暖差が酷いんだよ、ここは。
「枯れるのとこいつが赤く育つの、どっちが先かなぁ」
せめてこのトマトだけを成長させられたり出来ればいいのに。
「"成長促進"」
緑のトマトに触れたままスキルを使うと、トマトはすくすくと成長して赤く染まった。
「お、赤くなる方が早かった……か?」
おや?
他がまったく成長していない。いや成長というか、枯れてない?
他の苗は十日も追加成長させたら枯れてしまうのに。
こいつは……トマト、だけ?
もしかして一部分だけ成長させられたり、出来るとか。
「試してみよう。んーっと。よし、あのカボチャで確かめるか」
実ったばかりで、まだ花を頭に付けたカボチャがある。
周りには他のカボチャもいくつかあった。
このカボチャだけを成長させよう。
そう考えながらスキルを使った。
数秒のうちに立派なサイズに成長する。
周りのカボチャは……さっきと同じサイズのままだ。
「出来るんだ、局部的成長って」
「どうしたの? あ、カボチャだ」
シェリルは成長したカボチャを見て、嬉しそうにする。
カボチャ、甘いもんな。
野菜の木の種、まだ残ってるしサツマイモが出たら喜ぶだろうな。
「さっき見た時には、収穫出来そうなサイズのものはなかったですが」
「うん。どうやら一部だけをスキルで成長させるってことが出来るみたいだから、確認したんだ」
「「一部だけ?」ですか?」
さっきと同じように、手近なカボチャだけを成長させて見せた。
「な。こいつ以外のカボチャはそのままのサイズだろ」
「本当だわ。ひとつだけ成長させられるのね」
「いろいろ出来るのですねぇ」
「だね。これ、成長させたい実に触れている時だけなのかな……あの実だけ成長させたい。"成長促進"」
触れていない、視線の先にあるカボチャだけ成長させたいと考えてスキルを使った。
出来た。
「触れているものの一部なら、どこでも自由に成長させられるのか」
「ふぅーん。じゃあ、たとえば……心臓だけ、とかも?」
「ん?」
「行ったわよユタカ!」
「おう!」
心臓だけとか、どこの誰を暗殺させられるんだと思ったら。
相手はモンスターだった。
岩が点々とする彼女らの狩場。
そこで二人が、俺が隠れている岩場までモンスターを誘導する。
俺はすれ違いざまのモンスターに一瞬触れ、「心臓だけ止まるまで成長しろ!」と叫びながらスキルを唱えた。
叫ぶのはたんに気合を込めてるだけ。深い意味はまったくない。
『ゲウッ』
サイに似たモンスターが一瞬、えづくような声を上げてそのまま岩に激突。
「や、やったか?」
「動かないみたいね」
「えぇっと――死んでいますね」
「おおぉ!」
い、いや、喜ぶのはまだ早い。
ただ単に寿命まで成長させただけかもしれないし。
二人が死体をチェックする。
サイに似ているが、大きさは五トントラック並み。そして角は左右に伸びていて、ここだけみると闘牛のようにも見える。
あの角、そして硬い皮膚が素材として使えると二人は言ってたな。
あと肉も美味いって。
「ユタカさん、大成功です!」
「皮膚のはりは残ったままだし、肉にも弾力があるわ」
「素材もお肉も、無事ですよ」
「本当か! やった、これで――」
ん?
これで?
「これであんたも、狩りで役に立つわね」
「ふふ。戦力増強ですの」
そう、なりますよねぇー。
はぁ……こりゃ体を鍛えた方がよさそうだ。
野菜を収穫し終えたら、枯らしてから燃やす。肥料にするためだ。
そのために追加成長をさせようとしたら、緑色の小さなトマトが一つだけ残っていた。
小さすぎて気づかれなかったのかもしれない。
このトマト、一昨日成長させたやつだから、早くも枯れ始めているんだよな。
まぁこの暑さだし、仕方ない。
しかも夜は逆に寒いしな。一日の寒暖差が酷いんだよ、ここは。
「枯れるのとこいつが赤く育つの、どっちが先かなぁ」
せめてこのトマトだけを成長させられたり出来ればいいのに。
「"成長促進"」
緑のトマトに触れたままスキルを使うと、トマトはすくすくと成長して赤く染まった。
「お、赤くなる方が早かった……か?」
おや?
他がまったく成長していない。いや成長というか、枯れてない?
他の苗は十日も追加成長させたら枯れてしまうのに。
こいつは……トマト、だけ?
もしかして一部分だけ成長させられたり、出来るとか。
「試してみよう。んーっと。よし、あのカボチャで確かめるか」
実ったばかりで、まだ花を頭に付けたカボチャがある。
周りには他のカボチャもいくつかあった。
このカボチャだけを成長させよう。
そう考えながらスキルを使った。
数秒のうちに立派なサイズに成長する。
周りのカボチャは……さっきと同じサイズのままだ。
「出来るんだ、局部的成長って」
「どうしたの? あ、カボチャだ」
シェリルは成長したカボチャを見て、嬉しそうにする。
カボチャ、甘いもんな。
野菜の木の種、まだ残ってるしサツマイモが出たら喜ぶだろうな。
「さっき見た時には、収穫出来そうなサイズのものはなかったですが」
「うん。どうやら一部だけをスキルで成長させるってことが出来るみたいだから、確認したんだ」
「「一部だけ?」ですか?」
さっきと同じように、手近なカボチャだけを成長させて見せた。
「な。こいつ以外のカボチャはそのままのサイズだろ」
「本当だわ。ひとつだけ成長させられるのね」
「いろいろ出来るのですねぇ」
「だね。これ、成長させたい実に触れている時だけなのかな……あの実だけ成長させたい。"成長促進"」
触れていない、視線の先にあるカボチャだけ成長させたいと考えてスキルを使った。
出来た。
「触れているものの一部なら、どこでも自由に成長させられるのか」
「ふぅーん。じゃあ、たとえば……心臓だけ、とかも?」
「ん?」
「行ったわよユタカ!」
「おう!」
心臓だけとか、どこの誰を暗殺させられるんだと思ったら。
相手はモンスターだった。
岩が点々とする彼女らの狩場。
そこで二人が、俺が隠れている岩場までモンスターを誘導する。
俺はすれ違いざまのモンスターに一瞬触れ、「心臓だけ止まるまで成長しろ!」と叫びながらスキルを唱えた。
叫ぶのはたんに気合を込めてるだけ。深い意味はまったくない。
『ゲウッ』
サイに似たモンスターが一瞬、えづくような声を上げてそのまま岩に激突。
「や、やったか?」
「動かないみたいね」
「えぇっと――死んでいますね」
「おおぉ!」
い、いや、喜ぶのはまだ早い。
ただ単に寿命まで成長させただけかもしれないし。
二人が死体をチェックする。
サイに似ているが、大きさは五トントラック並み。そして角は左右に伸びていて、ここだけみると闘牛のようにも見える。
あの角、そして硬い皮膚が素材として使えると二人は言ってたな。
あと肉も美味いって。
「ユタカさん、大成功です!」
「皮膚のはりは残ったままだし、肉にも弾力があるわ」
「素材もお肉も、無事ですよ」
「本当か! やった、これで――」
ん?
これで?
「これであんたも、狩りで役に立つわね」
「ふふ。戦力増強ですの」
そう、なりますよねぇー。
はぁ……こりゃ体を鍛えた方がよさそうだ。