「にーかいっ、にーかいっ」
「ちっちゃいお部屋ぁ」
サボテンでの検証をした翌日から、ツリーハウスの成長に取り掛かった。
木の家が出来る――となると子供たちは大はしゃぎ。
大人たちが「一日一本だ」「二本成長させたらお兄ちゃんが死んでしまう」と大袈裟にいったおかげで子供たちは納得。
そうなると今度は順番で揉め始めたが、そこは俺はあみだクジを作って決めた。
そして最初の一件目は四人家族のダッツさん宅。
一一歳と五歳の兄妹がいる。
二階は成長させれば自動的に出来上がるけど、小さい部屋はどうかなぁ。
「"成長促進"」
芽吹かせて、植えて、少し成長させて木になったら。
「よし、二人とも木に触って。ここからは二人も協力するんだぞ」
「触るの?」
「しゃわるの?」
「そ。それで考えるんだ。どんなツリーハウスになって欲しいかって」
「二階!」
「ちっちゃいお部屋ぁ」
二人が嬉しそうに木に触れてから、さらに成長させる。
俺んちが一六〇年弱だったから、樹齢一七〇年をまず目指そう。
ぐんぐんと伸びたツリーハウスは、俺のより少し背が高く育った。
「いったん中に入ってみるか」
「「わぁーい」」
ダッツさんとこの兄妹だけじゃなく、他の子供たちも我先にと入っていく。
「こらっ。入口で靴を脱ぎなさいっ」
「足も拭きなさぁーい!」
ダッツさん夫妻は大変だ。新居を汚されそうになっているんだから。
「俺たちも入ろうか。まぁ俺んちと同じだろうけどさ」
「でもワクワクしますね。こういうのって」
「木のニオイ、凄くいいよねぇ」
俺たち三人も中に入ってみた。
そして絶句した。
「なんで家の中に滑り台があるんだよ!」
二階へと上る階段横には、滑り台がある。
子供たちは大はしゃぎだ。
さらに吹き抜けから見える、三階らしきスペース。
三階……というかロフトみたいな感じか?
上がってみると、ロフトに上がる階段とそれにネット?
蔓で編まれたネットが階段に併設されていて、ちょっとしたアスレチック気分も楽しめるようになっていた。
ロフトには転落防止の柵もある。
いたれりつくせりじゃないか。
「ユタカお兄ちゃん、ちっちゃいお部屋あったぁ」
「え、あったの!?」
ミルちゃんが壁から顔を出している。
おぉ、壁の一部が膨らんでいて、大きなこぶみたいなのがある。
その中は小さな部屋になっていた。
「お兄ちゃん、どうじょ」
「おじゃましまぁす。あぁ、兄ちゃんだと立ったまま入れないなぁ」
天井の高さは一五〇センチもない。まぁ子供なら十分な高さだ。
広さにしても縦横一メートルほどしかない。
でも、秘密基地っぽくていいな。
「お兄ちゃん、ありがとう。ミルのお家作ってくれて」
「どういたしまして。でもお兄ちゃんひとりだと、こんな形にはならなかったなぁ」
きっと子供たちの願いも、スキルに上乗せされたんだろう。
ちょっとイベントみたいな気分でやってみたことが、こんな効果を生み出すとは。
「本当にいらないの?」
五日かけてツリーハウスを作った。
そして最後はルーシェとシェリルの分――と思ったのに、二人は必要ないという。
「あ、あのさ……あんたひとりじゃない」
「ん?」
「それで、その……私たちはユタカさんの家に、居候させてもらえたらなと思いまして」
「いそう、ろう……えぇ!? お、俺と一緒に、その、暮らすってこと?」
二人が頷く。
いや、待って待って。どうしてそうなるんだ。
「ひとりは、寂しいですの」
「え……」
「そ、それにっ。ち、中型モンスターより大きいのは入ってこれないけど、小型のやつとかは時々くるのよっ。でもそれって私たちにとっては、貴重な食料でもあるから。あ、あんたにミイラにされたら困るのっ。だから……守ってやるってこと」
「年に一回あるかどうかですけどね。ふふ」
「あ、あんたは砂漠に不慣れなんだからっ。だ、だから慣れてる私たちが、面倒見てあげるって言ってるの」
二人は俺のことを気にかけてくれてて、それで一緒に暮らそうって言ってくれたのか。
ひとりは寂しい。
そう、かもしれない。
両親がいなくなってから、ずっと考えないようにしていたことだけど。
やっぱし、寂しかった。
「じゃ……もう少し、成長させないとな」
そして我が家に、ロフトが出来た。
「ちっちゃいお部屋ぁ」
サボテンでの検証をした翌日から、ツリーハウスの成長に取り掛かった。
木の家が出来る――となると子供たちは大はしゃぎ。
大人たちが「一日一本だ」「二本成長させたらお兄ちゃんが死んでしまう」と大袈裟にいったおかげで子供たちは納得。
そうなると今度は順番で揉め始めたが、そこは俺はあみだクジを作って決めた。
そして最初の一件目は四人家族のダッツさん宅。
一一歳と五歳の兄妹がいる。
二階は成長させれば自動的に出来上がるけど、小さい部屋はどうかなぁ。
「"成長促進"」
芽吹かせて、植えて、少し成長させて木になったら。
「よし、二人とも木に触って。ここからは二人も協力するんだぞ」
「触るの?」
「しゃわるの?」
「そ。それで考えるんだ。どんなツリーハウスになって欲しいかって」
「二階!」
「ちっちゃいお部屋ぁ」
二人が嬉しそうに木に触れてから、さらに成長させる。
俺んちが一六〇年弱だったから、樹齢一七〇年をまず目指そう。
ぐんぐんと伸びたツリーハウスは、俺のより少し背が高く育った。
「いったん中に入ってみるか」
「「わぁーい」」
ダッツさんとこの兄妹だけじゃなく、他の子供たちも我先にと入っていく。
「こらっ。入口で靴を脱ぎなさいっ」
「足も拭きなさぁーい!」
ダッツさん夫妻は大変だ。新居を汚されそうになっているんだから。
「俺たちも入ろうか。まぁ俺んちと同じだろうけどさ」
「でもワクワクしますね。こういうのって」
「木のニオイ、凄くいいよねぇ」
俺たち三人も中に入ってみた。
そして絶句した。
「なんで家の中に滑り台があるんだよ!」
二階へと上る階段横には、滑り台がある。
子供たちは大はしゃぎだ。
さらに吹き抜けから見える、三階らしきスペース。
三階……というかロフトみたいな感じか?
上がってみると、ロフトに上がる階段とそれにネット?
蔓で編まれたネットが階段に併設されていて、ちょっとしたアスレチック気分も楽しめるようになっていた。
ロフトには転落防止の柵もある。
いたれりつくせりじゃないか。
「ユタカお兄ちゃん、ちっちゃいお部屋あったぁ」
「え、あったの!?」
ミルちゃんが壁から顔を出している。
おぉ、壁の一部が膨らんでいて、大きなこぶみたいなのがある。
その中は小さな部屋になっていた。
「お兄ちゃん、どうじょ」
「おじゃましまぁす。あぁ、兄ちゃんだと立ったまま入れないなぁ」
天井の高さは一五〇センチもない。まぁ子供なら十分な高さだ。
広さにしても縦横一メートルほどしかない。
でも、秘密基地っぽくていいな。
「お兄ちゃん、ありがとう。ミルのお家作ってくれて」
「どういたしまして。でもお兄ちゃんひとりだと、こんな形にはならなかったなぁ」
きっと子供たちの願いも、スキルに上乗せされたんだろう。
ちょっとイベントみたいな気分でやってみたことが、こんな効果を生み出すとは。
「本当にいらないの?」
五日かけてツリーハウスを作った。
そして最後はルーシェとシェリルの分――と思ったのに、二人は必要ないという。
「あ、あのさ……あんたひとりじゃない」
「ん?」
「それで、その……私たちはユタカさんの家に、居候させてもらえたらなと思いまして」
「いそう、ろう……えぇ!? お、俺と一緒に、その、暮らすってこと?」
二人が頷く。
いや、待って待って。どうしてそうなるんだ。
「ひとりは、寂しいですの」
「え……」
「そ、それにっ。ち、中型モンスターより大きいのは入ってこれないけど、小型のやつとかは時々くるのよっ。でもそれって私たちにとっては、貴重な食料でもあるから。あ、あんたにミイラにされたら困るのっ。だから……守ってやるってこと」
「年に一回あるかどうかですけどね。ふふ」
「あ、あんたは砂漠に不慣れなんだからっ。だ、だから慣れてる私たちが、面倒見てあげるって言ってるの」
二人は俺のことを気にかけてくれてて、それで一緒に暮らそうって言ってくれたのか。
ひとりは寂しい。
そう、かもしれない。
両親がいなくなってから、ずっと考えないようにしていたことだけど。
やっぱし、寂しかった。
「じゃ……もう少し、成長させないとな」
そして我が家に、ロフトが出来た。