ルリカと皓矢は呪符で封印された扉の前に来ていた。ちなみにルリカは皓矢の頭の上で楽をしている。
「なんじゃこりゃあ!あの女、堂々とこんなことしておったんかあ!」
その異様な趣きに、ルリカは思わず叫んでしまった。
「違う違う。佐藤が逃げた時お祖父様の蘇生で暇がなかったから、応急措置で彼女の研究室を凍結しておいたんだよ」
「ぽ?──ああ、まあね、だと思ってたんらよね!」
皓矢が説明すると、ルリカは鳩でもないのに豆鉄砲をくらったような顔を一瞬だけして、とりあえず全力でごまかした。
「さすがルリカ、一目でわかるとは360年のキャリアは伊達じゃないね」
そんなごまかしにのってやった皓矢の褒め殺しでルリカはさらに調子付く。
「そりゃあ、あたちくらいになればこんなのは造作もないわ!」
「いやあ、すごいすごい」
「……で?今までの調べではなんかわかってんの?」
「え?」
「え?」
キョトンとしている皓矢に、ルリカはオウムではないけど疑問符をオウム返しした。
「あー……、実はまだ僕も入ってなくて。逃げられたあの日のまんまなんだなあ、これが」
「なあんだ、そっかあ」
「はははは」
「って笑って済ませると思うかあ!!」
堪忍袋の尾が切れたルリカはその小さなあんよで皓矢にキックを炸裂する。鳥の足だと侮ってはいけない。360年キャリアの式神の力は岩をも砕く。
「ふぐっ!」
だがそれを易々と左の頬だけで受け止めた皓矢の防御力はそれを凌駕していた。
「おまーやる気あんのか!?あの女の行方を追うのが先だろうが!」
「真秀月を持ち出したんだから、確かにそうかもしれないけど、もっと急務がね?」
幽爪珠の今の名前は真秀月という。その詳細は五部の公開を待って欲しい。
「出たよ、これがお役所仕事だよ。急じゃないのは後回しにしたあげくのたらい回し。そんなんじゃ市民に怒られるよ!」
「いやあ、うちは私企業だけど。それに法人税もかなり払ってるから市民には感謝して欲しいんだけど……」
「論点のすり替えは役人のじょーとー手段!肝に命じるんだよ!!」
すっかり頭に血が上ってルリカは訳がわからなくなっている。それを見越した皓矢はドアノブに手をかけた。
「じゃあ、市長。そろそろ開けます?」
「うむ、開けたまえ!秘書課長!」
その号令と同時に、皓矢は短い呪文を唱えた後ふっと息を吐いた。するとベッタベタに貼られていた呪符が一斉にハラリと落ちて跡形もなく消え去る。
「さあ、探検なんだよ!」
未知なる世界への扉は開かれたが、照明もついていない状態では真っ暗闇だった。
「こーや、電気!」
命令通りに皓矢が部屋の電気を点ける。そしてルリカは絶句した。
「は……」
「やはり、か……」
皓矢は少し予想していたのだろう。それでも悔しそうに壁を叩いた。
「な、なんで……?」
「なんで何にもないんだよっ!?」
「なんじゃこりゃあ!あの女、堂々とこんなことしておったんかあ!」
その異様な趣きに、ルリカは思わず叫んでしまった。
「違う違う。佐藤が逃げた時お祖父様の蘇生で暇がなかったから、応急措置で彼女の研究室を凍結しておいたんだよ」
「ぽ?──ああ、まあね、だと思ってたんらよね!」
皓矢が説明すると、ルリカは鳩でもないのに豆鉄砲をくらったような顔を一瞬だけして、とりあえず全力でごまかした。
「さすがルリカ、一目でわかるとは360年のキャリアは伊達じゃないね」
そんなごまかしにのってやった皓矢の褒め殺しでルリカはさらに調子付く。
「そりゃあ、あたちくらいになればこんなのは造作もないわ!」
「いやあ、すごいすごい」
「……で?今までの調べではなんかわかってんの?」
「え?」
「え?」
キョトンとしている皓矢に、ルリカはオウムではないけど疑問符をオウム返しした。
「あー……、実はまだ僕も入ってなくて。逃げられたあの日のまんまなんだなあ、これが」
「なあんだ、そっかあ」
「はははは」
「って笑って済ませると思うかあ!!」
堪忍袋の尾が切れたルリカはその小さなあんよで皓矢にキックを炸裂する。鳥の足だと侮ってはいけない。360年キャリアの式神の力は岩をも砕く。
「ふぐっ!」
だがそれを易々と左の頬だけで受け止めた皓矢の防御力はそれを凌駕していた。
「おまーやる気あんのか!?あの女の行方を追うのが先だろうが!」
「真秀月を持ち出したんだから、確かにそうかもしれないけど、もっと急務がね?」
幽爪珠の今の名前は真秀月という。その詳細は五部の公開を待って欲しい。
「出たよ、これがお役所仕事だよ。急じゃないのは後回しにしたあげくのたらい回し。そんなんじゃ市民に怒られるよ!」
「いやあ、うちは私企業だけど。それに法人税もかなり払ってるから市民には感謝して欲しいんだけど……」
「論点のすり替えは役人のじょーとー手段!肝に命じるんだよ!!」
すっかり頭に血が上ってルリカは訳がわからなくなっている。それを見越した皓矢はドアノブに手をかけた。
「じゃあ、市長。そろそろ開けます?」
「うむ、開けたまえ!秘書課長!」
その号令と同時に、皓矢は短い呪文を唱えた後ふっと息を吐いた。するとベッタベタに貼られていた呪符が一斉にハラリと落ちて跡形もなく消え去る。
「さあ、探検なんだよ!」
未知なる世界への扉は開かれたが、照明もついていない状態では真っ暗闇だった。
「こーや、電気!」
命令通りに皓矢が部屋の電気を点ける。そしてルリカは絶句した。
「は……」
「やはり、か……」
皓矢は少し予想していたのだろう。それでも悔しそうに壁を叩いた。
「な、なんで……?」
「なんで何にもないんだよっ!?」