380年ほど前、偉大な陰陽師・師羅鬼(しらき)幽伝(ゆうでん)は、遂に(ぬえ)の妖気を宝刀と弓矢から抽出することに成功した。
 そこから鵺探索用の呪符が作られるまでに要した時間は実に二十年以上。

 紙製の呪符は経年劣化を免れず、幽伝の息子・幽辰(ゆうしん)は研究を重ねその呪符の能力をより頑丈な宝玉に写すことに成功。
 以後、これをもって師羅鬼は鵺の妖気保有者を探し続けていた。

 さらに時代は下り、幽辰の息子・幽保(ゆうほ)は稀代の天才陰陽師へと成長していた。
 彼はさらに便利な鵺探索の方法を模索する。父が作った探索用の宝玉は常に術者を必要とするものだった。
 これが、もし自らの意思を持って動いてくれたなら──

 当時幽保は衰退していく陰陽師稼業を憂いて、新しい陰陽師組織の発足に忙殺されていた。
 しかし鵺の妖気保有者はそれを待ってはくれない。あいつらは何度も何度も生まれ変わる。そのことは有難いが見つけに行くのは手間だった。
 探索用宝玉が、意思を持って勝手に探してくれたなら──
 天才的に面倒くさがりの幽保はそんな願望から、鵺の妖気探索に特化した式神を作った。

 それが、瑠璃烏(ルリガラス)
 それが──あたちなんだよっ!!