歌い手と小説家、2つの顔を持ち、かつ現役高校生である俺。今の活動は、大変なこともあり、苦労していることもあるが、なんだかんだ楽しく活動出来ている。今までの人生でこれほど楽しい時期があっただろうか。
 時が経った今だからこそ、言えることなのだろう。今までの人生は、俺にとって地獄そのものだった。
 俺は小学校1年生の時からいじめを受けていた。最初は、軽いいじりや、暴言などが多かった。しかし、学年が上がるにつれて、いじめは次第にエスカレートしていった。
 小学校4年生の秋、残暑も次第に和らいでくる時期のことだった。昼休み、俺は4,5人くらいのいじめっ子グループに廊下に連れ出された。そして、廊下で囲まれたのち、いじめっ子たちからの暴力に晒された。痛い、苦しいの一言では表せない程に、それは酷く、冷たかった。
 きっと、その時の俺の心は、限界を迎えてしまっていたのだろう。その日の夕方、自らの人生を、自らの手で終わらせようとしたのだから。
 結果は失敗。しかしながら、この事件がきっかけで、今までのいじめっ子たちからのいじめは少なくなった。しかし、いじめが完全に無くなったわけではなかった。俺の中の心の傷は、深くなるばかりだった。
 そんなときに出会ったのが、歌い手だった。俺は、自分の心が傷ついた時には、必ず歌ってみたを聞くようになった。歌い手が奏でる音楽の世界。いつしか、歌い手になることが、俺の夢にもなった。
 元々歌うことが好きだった。歌うことが自分らしさを出せる唯一の方法だった。そして、2023年10月、歌い手としての活動を始めた。
 歌い手は、自分の思っていた以上に大変で、険しい道だった。だけど、その分楽しいこともあった。
 実は、それと同時に、自分らしさを出せる場所が歌い手だけでよいのかという気持ちになった。自分の経験は、他にも活かせるのではないか?そんなときに見つけたのが、小説家という道だった。
 試しに、1つ物語を書いてみることにした。元々歌い手活動に向けて、作詞の練習はしていたのだが、小説はそれとは異なるために、最初はかなり苦戦した。しかし、慣れていくうちに、小説執筆自体を楽しめるようになってきた。自分の小説を誰かに読んでもらいたい。そんな思いで、小説家としての活動も始めた。
 歌い手活動においても、小説家としての活動においても、大切にしていることがある。それは、俺がやりたい活動かどうかだ。
 今までの自分は、自分らしさを全く出せていなかった。それは、いじめのトラウマが原因だ。だけど、この2つの活動なら、自分らしさを思いっきり出すことができる。そう考えたから、この活動は続いている。
 俺は俺自身を好きじゃなかった。俺はずっと生きる意味を探していた。だが、この2つの活動によって、それが俺の生きがいになっている。いじめに苦しみ、毎日消えてしまいたかった俺が、いつしか、生きたいを口にするようになった。どれも、歌い手と小説家との出会いがあったおかげだ。これからも俺は、命ある限り、この活動を続けていきたい。
 「ありがとう。これからもよろしく。」