「だ、だめかな? このごろ昼間もあの音がして、こわくて、それでっ……」
 上ずった声で言うと、みーちゃんはそっと目を細めた。
「わかった。明日、アパートの管理会社に言っておくね」
 穏やかな眼差しに包まれる。よかった、これで猫たちが少しは楽になれる。
「あと、学校のことなんだけど。学校って制服を着ていくんだよね? いつ準備するの?」
「学校のことはちゃんと進めてるよ。制服も教科書も、学校がはじまるまでにはちゃんと揃うよ」
「あ、そうなんだ」
「うん。だいじょうぶだよ。あーちゃんが心配することは、なにもないよ」
 ほっと胸を撫でおろす。はやく教科書を見てみたい。授業にはちゃんとついていけるだろうか。学校がはじまる前にちゃんと勉強しておきたいと思うけど、みーちゃんは物語の本ばかり買ってきて、勉強は焦らないでいいよと言う。
 あーちゃんは大丈夫だよ。そのままでいいよ。
 みーちゃんはそう言ってくれるけど――。
「どうしたの、あーちゃん」
「ううん、なにも。デザートはなにかなって考えてただけ」
「ほんとうにあーちゃんはよく食べるね」
「食べすぎ?」
「あーちゃんくらいの年齢は、いっぱい食べた方がいいよ。今日もシュークリーム買ってきたから、いっしょに食べよう」