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 月曜日の朝。みーちゃんは決まって朝食を食べながら、「週末ってあっという間だなあ」とこぼす。月曜日は憂鬱で仕方ないらしい。曜日という感覚を持たない私にはいまいちよくわからないけど、みーちゃんにとっては大きな問題のようだ。
「月曜日ってね、ブルーマンデーっていうんだよ。みんな憂鬱だから、わざわざこんな言葉があるんだろうね」
 コーヒーを飲み干し、みーちゃんが言った。胃のなかまで真っ黒に染まりそうなコーヒーに、みーちゃんはいつも角砂糖をぼちゃぼちゃ入れる。前に一口飲ませてもらったけど、舌が曲がりそうなくらい強烈だった。
 苦いのが嫌いなら、なんでコーヒーを飲むの? と訊いたら、コーヒーはガソリンみたいなものだから、とみーちゃんは言った。なんて苦しいガソリンだろう。みーちゃんはたまに、なにかの戦士のように見える。
「ねえ、みーちゃん。それなら火曜日は何色?」
「それは考えたことなかったな。明日になったら考えてみるよ」
 みーちゃんはふふっと笑って、お仕事に向かった。