ヴェルゼと組み、妖精の花を探す。
さっき観た映像の余韻は残ったままで、距離を開けてヴェルゼの後ろを歩いていた。森の中は段々と霧が濃くなってゆく。そして、花を探しながら歩き、よそ見をしているうちにヴェルゼの姿を見失った。
どうすればいいの?
この森に来たのは初めてだ。まして霧が濃く……。完全に道に迷った。何も見えない道の中で聴覚が研ぎ澄まされる。獣のような声が聞こえてきた。そんなには遠くない場所に、いる。ひとまず木に背中を任せ気配を消した。目の前に突然、霧で正体が分からないがとても大きな影が現れた。直感で敵だと悟る。死を覚悟しながらも、ヴェルゼから預かった鈴を鳴らした。
影がひとつ増え、ふたつの影が揺れる。
ひとつ消えた。
「ルピナス、大丈夫か?」
「……本当に助けに来てくださるとは思いませんでした」
「ルピナスが危険な時は、必ず助ける」
ヴェルゼの頬には傷が――。
「今怪我されたのですか?」
「いや、たいしたことはない。ルピナスが無傷ならそれでいい」
「でも……」
「気にするな。霧で花が見えぬだろう。こうしよう」
ヴェルゼは魔法で霧を消した。
「離れるな、絶対に。そなたがいなくなったらもう我の生きる意味がなくなる」
映像の中での冷たいヴェルゼと言動が全く違う。ずっと繰り返し頭の中に流れていた、冷たいヴェルゼの映像画面が乱れ出し、一瞬砂嵐になる。
私の全てを、今のヴェルゼになら委ねてもいいのだろうか――。
さっき観た映像の余韻は残ったままで、距離を開けてヴェルゼの後ろを歩いていた。森の中は段々と霧が濃くなってゆく。そして、花を探しながら歩き、よそ見をしているうちにヴェルゼの姿を見失った。
どうすればいいの?
この森に来たのは初めてだ。まして霧が濃く……。完全に道に迷った。何も見えない道の中で聴覚が研ぎ澄まされる。獣のような声が聞こえてきた。そんなには遠くない場所に、いる。ひとまず木に背中を任せ気配を消した。目の前に突然、霧で正体が分からないがとても大きな影が現れた。直感で敵だと悟る。死を覚悟しながらも、ヴェルゼから預かった鈴を鳴らした。
影がひとつ増え、ふたつの影が揺れる。
ひとつ消えた。
「ルピナス、大丈夫か?」
「……本当に助けに来てくださるとは思いませんでした」
「ルピナスが危険な時は、必ず助ける」
ヴェルゼの頬には傷が――。
「今怪我されたのですか?」
「いや、たいしたことはない。ルピナスが無傷ならそれでいい」
「でも……」
「気にするな。霧で花が見えぬだろう。こうしよう」
ヴェルゼは魔法で霧を消した。
「離れるな、絶対に。そなたがいなくなったらもう我の生きる意味がなくなる」
映像の中での冷たいヴェルゼと言動が全く違う。ずっと繰り返し頭の中に流れていた、冷たいヴェルゼの映像画面が乱れ出し、一瞬砂嵐になる。
私の全てを、今のヴェルゼになら委ねてもいいのだろうか――。