「そしてそなたと我の鈴も渡しておく」

 お母様のよりも大きな黒い鈴をヴェルゼから受け取った。

「こっちの鈴は、我の魔力も封じ込めてある。そなたに何か危険が迫れば、その魔力がそなたの身を守る。そしてそなたが鈴を振れば我もすぐに駆けつける」
「ありがとうございます」
「では、我はそなたの食す夕食を調達してこようか。この辺りに結界を張っておくが、エアリー、何かあれば念で知らせてくれ」
「分かりました。ヴェルゼ様、きちんと人間が食すものを見分けられますか?」
「大丈夫だ。我はこの世界に来てから人界の料理を調べ、作れるようにもなったのだ」
「ヴェルゼ様はルピナス様のことを愛されているのですね」

 一瞬ヴェルゼと目が合ったけれど思い切りそらされた。ヴェルゼの尖った耳が赤くなっていた。

「では、行ってくる」

 ヴェルゼは花の小屋を出ていった。

「あの、エアリーさんにお聞きしたいことがあるのですが」