「おねえちゃん?」

「!」

妹の声にハッと我に返る。
見ると、妹が足を止め、心配そうに私を見上げていた。

「おねえちゃん、ないてるの?」

その言葉に、私は自分の目から涙がこぼれていたことに気がつく。
慌てて、それを手でぬぐった。
それはさっきの妹のしぐさに似ているとふと気付き、思わず笑ってしまう。

「ゆきのせい?ゆきがワガママいったから」

「ちがうよ」

妹が私に手を差し出す。私はその小さな手を握った。

「じゃあ、…おねえちゃんもさみしいの?ママがいなきて」

「……」

それは母が入院していること指しているのだろう。でも私は違う思いをこめてうなずく。

「うん、そうだね。さみしい。私、お母さんがいなくてずっとさみしかったんだ」

「おねえちゃん……」

「でも大丈夫だよ。雪も、お父さんもいる。病院におかあさんもいるもんね」

「……うん!ゆきいるよ。おねえちゃんといっしょにいる!だからさみしくないよ」

「うん、ありがとう」

私は妹を、雪を抱き上げた。ずっしり重かった。いつの間にか随分大きくなった。