帰り道。四人で一緒に歩く。
妹と平太くんが手を繋ぎ、私と灰島くんはそれを見守るように後ろからついていく。
灰島くんは時折平太くんに声をかける。平太くんは笑いながら振り向き、そこには二人の強い絆を感じた。
「灰島くんはすごいね」
「なにが?」
「こんなこといつもやっているんだね。私は無理だ。…嫌になっちゃった」
妹の後ろ姿を見ながら、隣の灰島くんにだけ聞こえるようにつぶやく。
「うちね、妹と母親が違うの。私の本当の母はもう死んじゃってて…私、母にこうしてお迎えに来てもらったことなんてなくて。だからかな、妹が何も知らずに我儘を言う姿にイライラするの。勝手だね、妹は悪くないのに」
「……」
「今、入院してる母親のことも、本当はあまり実感がなくて、心配かもよくわからなくて…。私、冷たいんだ。本当の母親じゃないからかな。どこか欠けてる気がする。家族の中にいると何だか苦しい」
そう。もうずっと苦しかった。
母が入院するとき。いや、する前から。
私は家族が好きなはずなのに、いつも苦しかった。
「……」
「ごめんね、変な話しちゃって」
「いや、そんなことない。大事な話だろ」
「……」
灰島くんは平太くんを見守りながら、小さい声で話し出した。
「俺も別にすごくねえよ。必要に迫られてやってるだけ。倉原と同じようにイライラすることあるし。……でも」
「でも?」
「…実は平太は弟じゃねえんだ。兄貴の子供。甥っ子ってやつだよ。平太が一歳のときに兄貴と嫁さんが事故で死んで…それでうちの親が平太を引き取ったんだ」
「え」
妹と平太くんが手を繋ぎ、私と灰島くんはそれを見守るように後ろからついていく。
灰島くんは時折平太くんに声をかける。平太くんは笑いながら振り向き、そこには二人の強い絆を感じた。
「灰島くんはすごいね」
「なにが?」
「こんなこといつもやっているんだね。私は無理だ。…嫌になっちゃった」
妹の後ろ姿を見ながら、隣の灰島くんにだけ聞こえるようにつぶやく。
「うちね、妹と母親が違うの。私の本当の母はもう死んじゃってて…私、母にこうしてお迎えに来てもらったことなんてなくて。だからかな、妹が何も知らずに我儘を言う姿にイライラするの。勝手だね、妹は悪くないのに」
「……」
「今、入院してる母親のことも、本当はあまり実感がなくて、心配かもよくわからなくて…。私、冷たいんだ。本当の母親じゃないからかな。どこか欠けてる気がする。家族の中にいると何だか苦しい」
そう。もうずっと苦しかった。
母が入院するとき。いや、する前から。
私は家族が好きなはずなのに、いつも苦しかった。
「……」
「ごめんね、変な話しちゃって」
「いや、そんなことない。大事な話だろ」
「……」
灰島くんは平太くんを見守りながら、小さい声で話し出した。
「俺も別にすごくねえよ。必要に迫られてやってるだけ。倉原と同じようにイライラすることあるし。……でも」
「でも?」
「…実は平太は弟じゃねえんだ。兄貴の子供。甥っ子ってやつだよ。平太が一歳のときに兄貴と嫁さんが事故で死んで…それでうちの親が平太を引き取ったんだ」
「え」