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夕方。幼稚園に迎えに行くと、先生から妹が友達と喧嘩したと聞かされた。
またか。最近その話が多い。
手をあげたりはしてないようだが、妹が一方的にちょっかいを出したらしい。

「すみません…」

「いえ、雪ちゃんいつもはみんなに優しいんです。でも最近ちょっぴり疲れているのかもしれませんね」

「……」

「私たちもフォローしますので、お姉ちゃんも良ければお家でお話きいてあげてください」

「……はい。雪、帰ろう」

手を引こうとするが、妹は憮然とした顔でそれを振り払う。仕方なくそのまま歩き出すと、ゆっくりではあるがついてきた。
でも園庭で、その歩みが止まる。

「おねえちゃん。ゆき、あそびたい」

「駄目。夕飯の支度しなきゃ」

「いや!あそぶ!!あそぶもん!!!」

妹の叫び声が響く。園庭にいた人達が何事かとこちらを向く。視線がとても居たたまれない。

「雪、いい加減にしな!今は我慢するときだってわかってるでしょう」

「いや!ゆき、もうがまんいやだ!ゆきもあそびたい!ママとあそびたい!ママとごはんたべたい!ママとおふろはいりたい、いっしょにねたい!」

「……雪」

「ママならあそんでいいっていってくれたもん!ゆき、ママがいい!ママにおむかえきてほしい!」

雪は大声で泣き出す。周りの目がますますこちらを向いてくる。

何で私がこんな目に合わないといけないの。

ご飯つくって、お風呂に入れて、お迎えにきて。それを私がどんな思いでしてると思うの?

私だって友達と遊びたいんだよ。でもそれを我慢してこうして来ているんだよ。

私だって……私なんか……
私なんか、お母さんに迎えにきてもらったことないのに。

「うるさいよ、雪…」

妹の泣き声が響く。
私も……私も泣いてしまいそうだ。