私達は、文化祭の準備に追われていた。
学校生活の最後の大イベント。
文化祭も運動会と同様、保育園と小学校、中学校、地域合同で行う。
ステージ発表は保育園児と小学生、中学生が担当し、地域の方々は芸術作品を展示する。
中学生は、習字、絵、工作の制作はもちろん、ステージ発表の劇、太鼓、合唱、郷土芸能の練習にも取り組んでいた。
太鼓は、普段の授業や部活でやっているため、お手のものである。
問題は劇だ。
劇は姫乃森地区を舞台にした『桃太郎』をすることにした。
劇中には、地区の馴染みのある姫乃森山や姫乃森湖などを設定にいれた。
私は小さい頃からセリフを覚えるのが大の苦手。
なので、台詞の少ない一瞬の出番の小さい頃の桃太郎役をかって出た。
背が低いからピッタリの役だ。
劇の練習は、総合的な学習の時間にやった。
キャストは、おじいさん役は靖朗、おばあさん役はきらり。
桃太郎役は千秋、犬は淳、キジは明日香、猿はふーが担当した。
ちなみに鬼役は、川村先生と内藤先生がやることになった。
「なんで、オレが鬼なの~?」
川村先生は桃太郎をやりたかったらしい。
「いやいや、普通に考えて先生が主役やっちゃダメでしょ」
千秋がツッコんだ。
内藤先生はノリノリで小道具の金棒をブンブン振り回している。
体格が体格のせいで、洒落になってない。
恐怖でしかない。
「じゃー、桃太郎と鬼が戦うところからやるかー」
私は出番が最初だけなので、ほとんどの稽古の仕切り、いわば監督役をやることになった。
「スタートー」
私が合図を出すと、千秋がセリフを言い出す。
「やい、鬼ども! この桃太郎が退治してやるー! 犬、猿、キジ! 行くぞー!」
「おー!」
「ばっちこーい!」
「やー! とー!」
戦いが始まった。
生徒達は演技として手加減をしているが……。
「手加減してくださいよー!」
千秋が川村先生からの攻撃を必死に耐えている。
「手加減問答無用! 本気で来い!」
傍から見えば、チャンバラに見える。
いい大人が子供相手に必死だ。
ひどい絵面だ。
呆れていると、みんなはぁーはぁーと息を切らし始めた。
この戦いのシーン、長すぎる。
鬼が参ってくれないと千秋の『参ったか! 鬼どもめ!』のセリフが言えず、物語が先に進まない。
私と、出番を終えた靖朗ときらりは顔を見合わせた。
二人も同じことを思っているようだ。
私は仕方なくカットをかけた。
「カット! カット! すみません! 鬼役の方々……。降参して下さいませんか? エンディングを迎えられないんですけど……」
「だって負けたくないじゃん!」
そういうことじゃない……。
みんなそう思った。
「川村先生、適度にやって下さい! 内藤先生を見て下さい。バテてますよ?」
内藤先生はフラフラになり、プスープスーと息切れをして座りっぱなしだ。
「川村先生のセリフがないから……。いつまで戦っていれば……良いんだろうと思って……」
喋るのも大変そうなほどの息切れだ。
内藤先生だけではなく、みんなも疲れていた。
「今日はこの辺にしましょう。次の時間は合唱練習だし。」
合唱は小学生と中学生の合同で行う。
「あー、そうだった。練習は体育館でやるからねー」
川村先生は金棒でバッティングの素振りをしながら言った。
あんなにガチなチャンバラをやっていたのにまだ体力が有り余っているようだ。
「はーい」
私達は小道具や台本を片付けて体育館へ移動して、合唱練習に参加した。
合唱曲は「ふるさと」と「もみじ」だ。
この合唱も来年からは小学生だけだと思うと寂しい。
一日の授業がほぼ文化祭の準備で終わることもある。
文化祭の準備が楽しすぎて、逆に授業を受けるのがダルく感じることもある。
その分、文化祭準備のお陰で授業があまり進まないため、宿題が多い。
家に帰って一時間で宿題を終わらせるのだが、その後もやることがある。
それは、文化祭で地域の方々が一番楽しみにしている郷土芸能の発表練習である。
学校生活の最後の大イベント。
文化祭も運動会と同様、保育園と小学校、中学校、地域合同で行う。
ステージ発表は保育園児と小学生、中学生が担当し、地域の方々は芸術作品を展示する。
中学生は、習字、絵、工作の制作はもちろん、ステージ発表の劇、太鼓、合唱、郷土芸能の練習にも取り組んでいた。
太鼓は、普段の授業や部活でやっているため、お手のものである。
問題は劇だ。
劇は姫乃森地区を舞台にした『桃太郎』をすることにした。
劇中には、地区の馴染みのある姫乃森山や姫乃森湖などを設定にいれた。
私は小さい頃からセリフを覚えるのが大の苦手。
なので、台詞の少ない一瞬の出番の小さい頃の桃太郎役をかって出た。
背が低いからピッタリの役だ。
劇の練習は、総合的な学習の時間にやった。
キャストは、おじいさん役は靖朗、おばあさん役はきらり。
桃太郎役は千秋、犬は淳、キジは明日香、猿はふーが担当した。
ちなみに鬼役は、川村先生と内藤先生がやることになった。
「なんで、オレが鬼なの~?」
川村先生は桃太郎をやりたかったらしい。
「いやいや、普通に考えて先生が主役やっちゃダメでしょ」
千秋がツッコんだ。
内藤先生はノリノリで小道具の金棒をブンブン振り回している。
体格が体格のせいで、洒落になってない。
恐怖でしかない。
「じゃー、桃太郎と鬼が戦うところからやるかー」
私は出番が最初だけなので、ほとんどの稽古の仕切り、いわば監督役をやることになった。
「スタートー」
私が合図を出すと、千秋がセリフを言い出す。
「やい、鬼ども! この桃太郎が退治してやるー! 犬、猿、キジ! 行くぞー!」
「おー!」
「ばっちこーい!」
「やー! とー!」
戦いが始まった。
生徒達は演技として手加減をしているが……。
「手加減してくださいよー!」
千秋が川村先生からの攻撃を必死に耐えている。
「手加減問答無用! 本気で来い!」
傍から見えば、チャンバラに見える。
いい大人が子供相手に必死だ。
ひどい絵面だ。
呆れていると、みんなはぁーはぁーと息を切らし始めた。
この戦いのシーン、長すぎる。
鬼が参ってくれないと千秋の『参ったか! 鬼どもめ!』のセリフが言えず、物語が先に進まない。
私と、出番を終えた靖朗ときらりは顔を見合わせた。
二人も同じことを思っているようだ。
私は仕方なくカットをかけた。
「カット! カット! すみません! 鬼役の方々……。降参して下さいませんか? エンディングを迎えられないんですけど……」
「だって負けたくないじゃん!」
そういうことじゃない……。
みんなそう思った。
「川村先生、適度にやって下さい! 内藤先生を見て下さい。バテてますよ?」
内藤先生はフラフラになり、プスープスーと息切れをして座りっぱなしだ。
「川村先生のセリフがないから……。いつまで戦っていれば……良いんだろうと思って……」
喋るのも大変そうなほどの息切れだ。
内藤先生だけではなく、みんなも疲れていた。
「今日はこの辺にしましょう。次の時間は合唱練習だし。」
合唱は小学生と中学生の合同で行う。
「あー、そうだった。練習は体育館でやるからねー」
川村先生は金棒でバッティングの素振りをしながら言った。
あんなにガチなチャンバラをやっていたのにまだ体力が有り余っているようだ。
「はーい」
私達は小道具や台本を片付けて体育館へ移動して、合唱練習に参加した。
合唱曲は「ふるさと」と「もみじ」だ。
この合唱も来年からは小学生だけだと思うと寂しい。
一日の授業がほぼ文化祭の準備で終わることもある。
文化祭の準備が楽しすぎて、逆に授業を受けるのがダルく感じることもある。
その分、文化祭準備のお陰で授業があまり進まないため、宿題が多い。
家に帰って一時間で宿題を終わらせるのだが、その後もやることがある。
それは、文化祭で地域の方々が一番楽しみにしている郷土芸能の発表練習である。