桜の満開を迎える予想のその日は、満開ではなく、そして、私たちの卒業式の日でした。
私の名前は、宮崎咲華(みやざきさきか)っていいます、今日まで中学3年生。
いつもの登校時間より今日は1時間遅い。
9時から卒業式なんだよね。
だから、いつもなら7時半集合なんだけど、8時半集合。
学校まで20分かからないくらいかな。
親友の黒川彩奈(くろかわあやな)と待ち合わせなんだ。
だから今、彩奈を待ち合わせ場所の公園で待ってるところ。
「あ、きたきた、おはよー!彩奈」
ブランコに腰を掛けて、足をつけたまま、少しだけゆらゆらと揺れながら、公園の入口から入ってきた彩奈を見つけて声をかける。
「ごめん、待った?」
彩奈は長くてきれいな黒髪を右に一つで緩く結んでいた。
これがいつもの彩奈のヘアスタイル。
「ううん、そんなに待ってないよ。私もさっき来たところ」
私はというと、少し傷んで毛先が茶色がかった黒。
彩奈の真っ黒できれいな髪とは、似ても似つかない。
傷んでしまうから、肩ぐらいまで切っちゃう方が手入れが楽でいいんだよね。
ドライヤーもすぐにかけれないほどのずぼらの私には、ロングは向いてない。
「桜、満開にならなかったね」
彩奈は、公園の桜を見上げながら言った。