無難に幼稚園を卒園。そして小学校を卒業した俺は中学校に進学。
両親は、中学受験をさせたかったようだが断った。
特に母親の方が乗り気で、

「心配することないわ。蒼なら絶対大丈夫」
と言ってきたので

「根拠は?」

と尋ねてみたら、

「だって、パパとママの自慢の息子だから」

という訳分からない答えが返ってきて呆然とした。 確かに俺の父親は一代で事業を起こし、地元ではそこそこの有名人だ。

しかし、それがなんの理由になるのか。
母の楽観的すぎる性格には息子の俺ですらたまに辟易する。
そして何も行動することなくはこの話は終了。
母もそれ以上何も言ってこなかった。
きっと、何を言っても無駄だと悟ったんだろう。

地元の中学は知り合いばかりだったから、友達を作るのに苦労することもなかったし、かなりモテた。

バレンタインデーや誕生日(どこから漏れたのかは謎)なんかは机の中はプレゼントでいっぱいだったし、わざわざ、家まで告白しに来てくれる子もいた。

嬉しくないわけではなかったが、その頃の俺は、仲のいい、男友達とサッカーしたり、バンドを組んだりする方が楽しいと感じていて特定の子付き合うことはしなかった。

それはつまり、どの子にも平等に、お断りしていた。という事。
しかし逆にそれが、『クールでカッコイイ』ということになってしまい、俺のファンを名乗る女子が達が、一挙手一投足を観察しているという予想外の展開になったのは意外だった。