――下校後。
イチョウのじゅうたんを踏みしめながら家路へ向かっていると、ふとあることが閃いて私の足は家から遠ざかった。
到着した先は、家から徒歩十五分先にある近所の神社。
鳥居をくぐり抜けると、樹齢六十年超えの杉が等間隔にならんでいる間の参道を歩いて本殿へと足を向かわせる。
森林の新鮮な空気を吸いこみながら緊張感をほぐす。手水舎で手を清めたあとに本殿前に到着すると、カバンから出した財布の中の五円玉を手にとって賽銭箱の中央へ投下して二礼二拍手をした。
『星河がパティシエコンテストで優勝しますように』
神様に願いが届くかわからないけど心を込めてお願いした。
今回が初めてのパティシエコンテストで、今回は有名ホテルのパティシエが審査員として参加するらしい。
優勝して腕が認められれば自信に繋がる。だから、絶対に優勝して欲しい!
最後に一礼をしてから本殿を離れると、次に目に入ったのが授与所。
それを見て思った。
「そうだ! お守り買っていこっと」
そのまま授与所へ向かってお守りを一つ購入。
カバンにしまって二歩あるくと、目の前にはおみくじの箱が二つ設置されていた。
せっかく神社に来たからおみくじでも引いてみようかな。
再びカバンを開いて財布から百円玉を取り出して料金箱へ入れる。おみくじの箱の中をガサガサとかき混ぜた後、運命の一枚を取り出した。胸をドキドキさせながら中を開くと……。
「うっわっ、大凶!! ……あはは。最近運が悪いからそんな気がしたんだよね。えっと、願望は結果すべて悪方へ向く。しかも、恋愛は相手を思いやれ。うわぁぁ……結構ひどい結果だなぁ。しかも、火の元に注意しろとも書いてあるけど、私は料理なんてしないから関係ないし」
期待外れな結果にため息をつくと、結び所でおみくじを結んでから帰ることにした。
しかし、目線の先のあるものを見かけると、再び足が止まった。