しばらくの沈黙――涼やかな風が三人を撫でる中、蒼紅の二人の姿を見つめ日和はなんだか急に申し訳なさと親しみが湧き、とともに可笑しい気持ちも起こり、
「良ければ、お茶などいかがですか」
優しく微笑み、柔らかくそう言ったのだった。
――日和の言葉に初めは目を丸くした蒼紅の二人だったが、今のこの状態と、その雰囲気に流され茶の誘いを受けた。というより、受けるより仕様がない形となった。
(とはいえ、妙なことになったものだ)
コト――と腰をかけている岩の台の上に湯飲みを置き、茶の用意をする日和を見ながら、蒼い装束の女は内で苦笑した。
苦笑せざるを得ない。こんな場で、人間の童女と茶をするとは思ってもいなかった。
(と、童女では失礼か)
子が腹にいるのだ。見た目は幼くとも、十分な女であり、そして、母だった。童女と呼んでは失礼だろう。
「――それで」
と口を開いたのは紅い装束の女だった。木陰に三人で座ってからしばらく経った頃である。
「これから、どうする?」
「どうする、とは?」
「今のまま茶をすすっているわけにもいくまい」
紅い装束の女が少しいらだったように続けるが、蒼い装束の女もまったくの同意見だった。今更戦う気などないが、さりとてこのまま別れるというわけにもいかない。こちらはいいが、日和は用があってここに来ている。何もせずに帰るわけにもいかないだろう。
だが、
「そうでしょうか。わたしには、こうしてお二方とお茶を飲むのは楽しいことなのですが」
当の本人である日和は、のんびりとした言葉で柔らかく微笑んだ。
「まったく、本当に何をしに来たのだか……」
紅装束の女は息をつき、茶を手に取った。