(――とはいえ)

 どういう結果がでるにしろ、すぐに動くことはないことは分かっていた。様子を見るに違いない。
 近づくか、近づかないか。敵となるか、味方となるか。それを見極めるために。
 スズが話したように、月隠に縁ある者は慕ってくるだろうが、今、人を増やすことは危険でもあった。変に警戒されるのも悪い。そこは釘を刺しておかねばならないだろう。
 後は、こちらを利用しようと考えている者たちだが……

(面倒だが、対応次第か)

 断ることは当然だが、まずは応じないほうが良いだろう。応じない、会わない、とすればいくらか時は稼げる。下手に会ってこちらの状況を知られたくはないし、断って敵を作ることも得策ではない。今は、こちらの体勢を整えることが大事だった。
 妖に関しては、まずは、それでいいだろう。同じ妖であるぶん、分かりやすいしやりやすい。

 ――では、

(月代家はどうか?)

 日愛や日向のことが知られないほうがいいのだが――今回のことで妖の動きが活発になれば、その流れで存在が知られてしまう恐れは十分にある。
 陽織の話では、月隠が潰れてもなお、月隠家に居た者は警戒され見張られたという。年数が経つにつれ見張られることはなくなったというが、月隠に縁する者で陽織は一番に警戒される人間であり、なお城守家との繋がりもあった。

 妖関連で動くことになれば、また様子を伺われるようなことがあるかもしれない。何より、日向が陽織の子供だということはすでに知られているだろうが、そもそもどこまで信じられているかも疑問ではあった。あれだけ、日向が日和に似ていれば。