「すでに我らは決めております。どうあろうと、あなたと共に在るということを。喜びも悲しみも、嬉しさも苦しさも全て共に受け、共に歩むことこそ我らの決めたこと。願いを成すはその先のことです。我らはいつまでもお待ちしています」
「スズさん……ありがとうございます」
「いえ、やはりあなたは日和様のお子です。お会いしたこと、間違いではありませんでした」

 微笑むスズに日向もにこと笑った。そんな二人の姿に灯澄もまた内で微笑む。
 日和の面影を慕われるのと日向自身が認められるのは全く意味が違う。日向ならば大丈夫だと思っていたが、ともあれ、スズが自分たちと同様に日和ではなく日向自身を認めたことは何よりのことだった。日向の器がどれほどかはまだ計り知れないが、今のスズとの会話でその一端を見ることもできた。当主としてはまだまだだが、今はその一端が見れただけで良しとしよう。

「さて、お昼の用意をしてまいりましょう。日向様は休まれていてください。大事になさらないと、まだ傷は癒えておりません」
「そうだな、寝ておけ日向。今は難しいことは考えなくていい、とにかく身体を休めろ。当主など、この先のことなど、身体が治ってからでいい」
「…………」

 立ち上がるスズの後に続けた燈燕の物言いに、少しだけ溜息を付く灯澄。そんな二人の姿に、日向はクスリと笑い、

「ふふ、分かりました。ありがとうございます、休ませてもらいますね」

 あまりに長く話してしまったら日愛も起きてしまうかもしれない――そうも思い、日向は日愛の頭を優しく撫でた。