「あなたの元に集まることで我らに害が及ぶかもしれないと思っているのでしょう。ですが、あなたの元へ集まるのは我らの意志です。覚悟は持っております」
顔を上げ、こちらを見つめる日向にスズは言葉を重ねる。願いと望みを内に込め、そして、強さと誓いを伝えて。
「日向様、このことは我らの我儘です。それを含め、受け止めていただけませんか。我らの意志と願いを共に」
「スズさん……」
「日向。これが、一家の長になるということだ」
灯澄の冷たく鋭い声が射抜くように日向へと向けられる。
「お前は先ほど覚悟を示し、誓い宣言した。だが、今一度聞こう。当主たる覚悟はあるか。我らとお前を慕う者全てを受け止める覚悟はあるか」
「…………」
日向は一拍の間を置き、そして、
「……わたしには、まだ皆さんを守る力はありません。皆さんに戦いをしてほしくもありません」
静かに言葉を紡いだ。清らかな視線と、純粋な想い。自身の正直な気持ちを、心底を、志を。ありのまま隠さずに。
「当主として何を成すべきか、それも分かっていません。わたしにあるのは、覚悟と誓い、その一念だけ」
「…………」
日向の視線を受け、今度はスズが黙った。
この方はこちらの全てを受け止めて言葉を発している。少しの妥協も許さず、一切の混じりもなく、そのままの深く重い全てを受け背負って。
「苦しく辛い思いをさせることになるかもしれません。ですが、待っていてくださいますか。わたしは必ず力をつけ成してみせます、皆さんの願いを」
「……なにを仰るのです」
日向のその想いに言葉に、スズもまた改めて姿勢を正した。自身の選択に間違いはなかったと確信し、日向へと会いに来て良かったと内で喜んで。