ドアを開くと、真新しい機械独特のにおいが、部屋を満たしていた。

 今、管制室は二つに分けられている。向かって右手が衛星の監視。左半分は八期のためのものである。既に来ている、幾人かの八期担当管制官と軽くあいさつを交わすと、ロイは一番後ろにある運行指揮官の席に座った。
 目の前にはイーハン、スズカの三人で、休み返上で作り上げた手順書が置かれている。いつ何時どのようなトラブルに見舞われても対処できるように、試行錯誤をくり返した。

 基本的な事項はイーハンが定め、ロイがそれに意見や疑問を示し、最終的にスズカがまとめる、そのような形で進めていった。
 経験の浅いロイが発する突飛な意見は、時に二人を笑わせ、時に二人の顔を真顔にした。それでも二人はロイの意見を邪険には扱わず、真剣に耳を傾けてくれた。このふた月で信頼関係ができたのと、それだけ、前回・今回にかける思いの深さを感じ取った。

 積み重ねた熱をじっと見つめる。

 そのまま瞑想するかのように深く目を閉じると、ロイは息を吐ききった。