☆本日の作業用BGMは、『ブギー・ワンダーランド』(アース・ウインド&ファイア)でございました。
も一本、『バラードのように眠れ』(少年隊)。イントロが好きです。
ちなみに、サブタイトルと黒○香さんは何の関係もございません。
(※本話は、2022年1月に綴ったものでございます)
ーーーーーー
成人式もあらかた終わったわけですが。お母さま!
私、来年成人式ですよ! 今頃思い出しました。
というか、来年度から十八歳で「成人」らしいです(お酒とか煙草は二十歳のままですって)。そうすると、成人式はどうなるんです?
みなまで言うな、です。ヤホーで検索しましたよ。
来年の成人式は、十八歳から二十歳までが対象になる可能性があるそうです。
どこまでを対象にするかは、各自治体に丸投げという噂です。
もし全てが対象になるようだと、着物のレンタルも競争率激しくなるのでしょうか。どうしようかな……何にも考えていませんでした。参加するかどうかも。
「2023年成人式問題」勃発でございますよ。あな恐ろしや。
★★★
開店後、まあまあ暗くなってきた頃合いで、表がカランと鳴りました。
足を踏み入れたその人は――黒いローブみたいなのを羽織ってらっしゃいます。ハロウィーンでもないのに。
パッと見、魔法とか魔術とか嗜まれる系のお方ですよね。定時で上がれたんでしょうか。
ピンクの髑髏が頭にくっついた杖をお持ちです。小柄です、フード被っているので年齢がよう分かりません。
ススッと真っ直ぐ歩み、椅子にちょこんと腰を掛けます。
徐にフードを脱ぐと、顔を出したのは小学生くらいの女の子です。またぞろ小学生か……。
と思って眺めていましたら、その子は『安全第一! 車上嵐にご注意』というボタンをぽちっとな、という感じで押しました。杖の髑髏で。それって、そういう使い方をするものなんですかね。
受話器を上げ、
【こんにちは!】
「こんにちは、ツイてない御苑へようこそ」
【この間はどうもありがとうございました!】
ん? この間……?
あらためてまじまじ凝視しました。
「――ああ、委員長でしたか。眼鏡が無いので気が付きませんでした(失言?!)」
「女王第一」の委員長でした。
【今日はコンタクトなんです。やっぱり眼鏡の印象になっちゃいますよね……】
ははは、と自虐的な笑みを発すると、委員長は軽く目を伏せました。
「え、い、いや、決して眼鏡が本体とは……そ、そうだ、この声、誰の声になってます?」
【えーと、大○クンですね、ア○シの】
「すうぃすうぃ! (車上嵐とはまた乱暴な……)」
【あはは、「ト○ブルメ○カー」ですね、知ってます】
「よくぞご存知で。ア○シは何気にイイ曲が多いですよね」
コロコロ機嫌よく笑う彼女と、ひとしきり某アイドルグループ(※活動休止中)の話で盛り上がりました。
と突然、彼女が杖を持った手でローブをばっさぁと跳ね上げました。
ローブの下は、防御力に乏しい感じの黒いビキニです。お胸のあたりは富士塚ぐらいの控え目な斜面になっております。
「露出多目のお召し物ですね」
【友達とダンジョンに行った帰りなんです。楽しかったー!】
――だんじょん?
「さ、左様で……? で、今日はどうされました?」
委員長は俯くと、絶賛発育中の胸をぎゅっと寄せてモジモジし始め……たんだっちゅーの!
【……今日、午前中にそこそこレベルが上がって、ウキウキでお昼休憩してたんですけど、友達の一人が急に「ねえねえ、イイン・チョウ知ってる?」って、話を振ってきて】
「(レベル上げ? イイン・チョウ? 中国の方?)どんなお話を?」
【私、ちょっとキニナル男の子がいるんですけど、友達も同じ子がイイなって思ってたらしくて……突然恋バナが始まったんです】
「いいですね、恋バナ♥」
【その子が言うには、「例の男子が婚約したらしいよ」って】
「ほう、そのお歳で」
【あら、私達くらいの年なら結婚してる子も多いんですよ?】
「――へ?」
あれ? 「十八歳成人」説? はどこ行った?
【相手の女性が十歳近く年上なんですって! それ聞いて私、「ガーンッ!」って叫んじゃって……】
「……どこかで聞いた風な……」
【十九歳としたら「超・オバサン」ですよ? 小ちゃい子供がいてもおかしくないくらい。私、すっごいショック受けて……】
受話器を持つ私の左手がカタカタ震えております。
聞き間違い? 間違いであってほしい、いや間違いに相違ない……抉れた左胸を、右手が慰めるようそっと覆います。
【きっと年の功で、あらゆる性技を駆使して彼を誑し込んだに違いない、騙されて性奴隷にされているんじゃないかって……結構盛り上がったんですけど】
イイン・チョウ? は目をギラギラさせて、荒い息を吐きながらウットリ顔で熱く語っておりまする。
【きっとそのオバサンは、年甲斐も無くTバック履いたり際どいボンデージ衣装なんか身に着けて彼を誘惑したに違いない、いや「童貞殺し」のニットワンピを通販で買い求めたかも、ゴムなんか一枚も持ち合わせ無いだろう、ダブルベッドにはお約束のように「YES NO枕♥」が置いてあるハズ、引き出しを開けると熊○曜子イチ押しの「ウー○ナ○ザー♥」が誠にスミマメーン! って飛び出るんだ! ナ、ナナナナー、ナナナナー】
「ち、ちょっとイイン・チョウ? 落ち着いて、落ち着きなさいっ!」
まるで見て来たように……なんて残酷な空想なのでしょう。
真っ赤なお顔に汗が滲んでらっしゃいます。放置したら死んじゃうのでは?!
はっ?! と我に戻って来たイイン・チョウが杖を一振りすると、メ○ーイ○ローのペットボトルがテーブルに顕現しました。慌ててコクコク喉へ流し込みます。
【ぷっはー……ご、ごめんなさい、取り乱しちゃって……と、とにかく、私達の結論は、「洗脳されている(であろう)彼を助けなきゃ!」という事に】
「……左様ですか……」
身も蓋も無し――。騙しているわけではありませんが、世間の反応としては通常運転と言ってよいのでしょうね。
いつの間にか能面のような色の無い顔で、イイン・チョウがすっと立ち上がっております。
杖の髑髏をこちらへと向け、
【ナガミネ・ミユキ、ネタは上がってんだよっ! お前が彼を誘惑したンだろがッ! この国の平穏のため、私ことイイン・チョウがお前を駆逐するッ! 思い知れいっ!】
何らかの詠唱と共に、髑髏が濃いピンクに発光し始めます。
私は無意識に椅子から立ち上がり、そのまま硬直――。
次の瞬間――視界は「どピンク一色」に染まり……
☆☆☆
――くぱぁ……と目が覚めました。
首の周りが潮でも吹いたようにぬるぬるです(あ、吹いた事はないです)。
掛け布団が跳ね上げられ、私はパンツ一丁で布団へ大の字になっていました。
真っ暗な寝室で身震いひとつ――暫く浅い呼吸を繰り返してみます。
夢だったのか……いかった……。
いや……果たしてまるっと夢だったと言えるのかどうか。所々、真実が紛れ込んでいたような。
あ、断じて、「ウ○マ○イザー♥」の件はフェイクニュース(?)で間違いありません。
なにしろまだ仕入れておりませんから。
もそりと身を起こし、タオルで首周りを拭います。しかしなんでほぼマッ裸?
重い頭でぼんやり考えますが、記憶がハッキリしません。
……シャワーでも浴びようか。面倒な……。
「超・オバサン」――言われなくても重々承知の助です。ふぐっ。
仕様が無いじゃない。どこまで行っても年の差が縮まることは無いんだし。
一条ゆかり先生の「砂○城」なんて、確か二十(歳)離れてましたよ? ていう話でもないか。
……せめて(?)、「来るべきその日」に備え、あらゆる性技(性戯?)に精進した方がよろしいでしょうか、お母さま。
そういう話でもないんですよね……。
も一本、『バラードのように眠れ』(少年隊)。イントロが好きです。
ちなみに、サブタイトルと黒○香さんは何の関係もございません。
(※本話は、2022年1月に綴ったものでございます)
ーーーーーー
成人式もあらかた終わったわけですが。お母さま!
私、来年成人式ですよ! 今頃思い出しました。
というか、来年度から十八歳で「成人」らしいです(お酒とか煙草は二十歳のままですって)。そうすると、成人式はどうなるんです?
みなまで言うな、です。ヤホーで検索しましたよ。
来年の成人式は、十八歳から二十歳までが対象になる可能性があるそうです。
どこまでを対象にするかは、各自治体に丸投げという噂です。
もし全てが対象になるようだと、着物のレンタルも競争率激しくなるのでしょうか。どうしようかな……何にも考えていませんでした。参加するかどうかも。
「2023年成人式問題」勃発でございますよ。あな恐ろしや。
★★★
開店後、まあまあ暗くなってきた頃合いで、表がカランと鳴りました。
足を踏み入れたその人は――黒いローブみたいなのを羽織ってらっしゃいます。ハロウィーンでもないのに。
パッと見、魔法とか魔術とか嗜まれる系のお方ですよね。定時で上がれたんでしょうか。
ピンクの髑髏が頭にくっついた杖をお持ちです。小柄です、フード被っているので年齢がよう分かりません。
ススッと真っ直ぐ歩み、椅子にちょこんと腰を掛けます。
徐にフードを脱ぐと、顔を出したのは小学生くらいの女の子です。またぞろ小学生か……。
と思って眺めていましたら、その子は『安全第一! 車上嵐にご注意』というボタンをぽちっとな、という感じで押しました。杖の髑髏で。それって、そういう使い方をするものなんですかね。
受話器を上げ、
【こんにちは!】
「こんにちは、ツイてない御苑へようこそ」
【この間はどうもありがとうございました!】
ん? この間……?
あらためてまじまじ凝視しました。
「――ああ、委員長でしたか。眼鏡が無いので気が付きませんでした(失言?!)」
「女王第一」の委員長でした。
【今日はコンタクトなんです。やっぱり眼鏡の印象になっちゃいますよね……】
ははは、と自虐的な笑みを発すると、委員長は軽く目を伏せました。
「え、い、いや、決して眼鏡が本体とは……そ、そうだ、この声、誰の声になってます?」
【えーと、大○クンですね、ア○シの】
「すうぃすうぃ! (車上嵐とはまた乱暴な……)」
【あはは、「ト○ブルメ○カー」ですね、知ってます】
「よくぞご存知で。ア○シは何気にイイ曲が多いですよね」
コロコロ機嫌よく笑う彼女と、ひとしきり某アイドルグループ(※活動休止中)の話で盛り上がりました。
と突然、彼女が杖を持った手でローブをばっさぁと跳ね上げました。
ローブの下は、防御力に乏しい感じの黒いビキニです。お胸のあたりは富士塚ぐらいの控え目な斜面になっております。
「露出多目のお召し物ですね」
【友達とダンジョンに行った帰りなんです。楽しかったー!】
――だんじょん?
「さ、左様で……? で、今日はどうされました?」
委員長は俯くと、絶賛発育中の胸をぎゅっと寄せてモジモジし始め……たんだっちゅーの!
【……今日、午前中にそこそこレベルが上がって、ウキウキでお昼休憩してたんですけど、友達の一人が急に「ねえねえ、イイン・チョウ知ってる?」って、話を振ってきて】
「(レベル上げ? イイン・チョウ? 中国の方?)どんなお話を?」
【私、ちょっとキニナル男の子がいるんですけど、友達も同じ子がイイなって思ってたらしくて……突然恋バナが始まったんです】
「いいですね、恋バナ♥」
【その子が言うには、「例の男子が婚約したらしいよ」って】
「ほう、そのお歳で」
【あら、私達くらいの年なら結婚してる子も多いんですよ?】
「――へ?」
あれ? 「十八歳成人」説? はどこ行った?
【相手の女性が十歳近く年上なんですって! それ聞いて私、「ガーンッ!」って叫んじゃって……】
「……どこかで聞いた風な……」
【十九歳としたら「超・オバサン」ですよ? 小ちゃい子供がいてもおかしくないくらい。私、すっごいショック受けて……】
受話器を持つ私の左手がカタカタ震えております。
聞き間違い? 間違いであってほしい、いや間違いに相違ない……抉れた左胸を、右手が慰めるようそっと覆います。
【きっと年の功で、あらゆる性技を駆使して彼を誑し込んだに違いない、騙されて性奴隷にされているんじゃないかって……結構盛り上がったんですけど】
イイン・チョウ? は目をギラギラさせて、荒い息を吐きながらウットリ顔で熱く語っておりまする。
【きっとそのオバサンは、年甲斐も無くTバック履いたり際どいボンデージ衣装なんか身に着けて彼を誘惑したに違いない、いや「童貞殺し」のニットワンピを通販で買い求めたかも、ゴムなんか一枚も持ち合わせ無いだろう、ダブルベッドにはお約束のように「YES NO枕♥」が置いてあるハズ、引き出しを開けると熊○曜子イチ押しの「ウー○ナ○ザー♥」が誠にスミマメーン! って飛び出るんだ! ナ、ナナナナー、ナナナナー】
「ち、ちょっとイイン・チョウ? 落ち着いて、落ち着きなさいっ!」
まるで見て来たように……なんて残酷な空想なのでしょう。
真っ赤なお顔に汗が滲んでらっしゃいます。放置したら死んじゃうのでは?!
はっ?! と我に戻って来たイイン・チョウが杖を一振りすると、メ○ーイ○ローのペットボトルがテーブルに顕現しました。慌ててコクコク喉へ流し込みます。
【ぷっはー……ご、ごめんなさい、取り乱しちゃって……と、とにかく、私達の結論は、「洗脳されている(であろう)彼を助けなきゃ!」という事に】
「……左様ですか……」
身も蓋も無し――。騙しているわけではありませんが、世間の反応としては通常運転と言ってよいのでしょうね。
いつの間にか能面のような色の無い顔で、イイン・チョウがすっと立ち上がっております。
杖の髑髏をこちらへと向け、
【ナガミネ・ミユキ、ネタは上がってんだよっ! お前が彼を誘惑したンだろがッ! この国の平穏のため、私ことイイン・チョウがお前を駆逐するッ! 思い知れいっ!】
何らかの詠唱と共に、髑髏が濃いピンクに発光し始めます。
私は無意識に椅子から立ち上がり、そのまま硬直――。
次の瞬間――視界は「どピンク一色」に染まり……
☆☆☆
――くぱぁ……と目が覚めました。
首の周りが潮でも吹いたようにぬるぬるです(あ、吹いた事はないです)。
掛け布団が跳ね上げられ、私はパンツ一丁で布団へ大の字になっていました。
真っ暗な寝室で身震いひとつ――暫く浅い呼吸を繰り返してみます。
夢だったのか……いかった……。
いや……果たしてまるっと夢だったと言えるのかどうか。所々、真実が紛れ込んでいたような。
あ、断じて、「ウ○マ○イザー♥」の件はフェイクニュース(?)で間違いありません。
なにしろまだ仕入れておりませんから。
もそりと身を起こし、タオルで首周りを拭います。しかしなんでほぼマッ裸?
重い頭でぼんやり考えますが、記憶がハッキリしません。
……シャワーでも浴びようか。面倒な……。
「超・オバサン」――言われなくても重々承知の助です。ふぐっ。
仕様が無いじゃない。どこまで行っても年の差が縮まることは無いんだし。
一条ゆかり先生の「砂○城」なんて、確か二十(歳)離れてましたよ? ていう話でもないか。
……せめて(?)、「来るべきその日」に備え、あらゆる性技(性戯?)に精進した方がよろしいでしょうか、お母さま。
そういう話でもないんですよね……。