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「あー美味しかったね。この野菜なんだったんだろ、ふふっ食べたこともない野菜、こんなのあるんだ」


 お弁当も終わり少しゆっくりと寛いでて、テレビをつけながらだけどそんなに内容は入ってこないような、見てるようで見ていない、そんな穏やかな時間を過ごしていた。




「続いてのニュースです、大手広告代理店勤務の立石浩平五十三歳を児童買春の疑いで逮捕しました。警視庁によりますと今月3日未明……」



 そんな時に流れたニュースにすぐに目がいった。



「……え」
「あいつだ」


 それは相馬さんと西山さんの執念が報われた日だった。

 あれからずっと調べてくれてたんだ。


「終わったんだよ」

 そう言って陸は私の肩をポンと叩いた。


「……うん」




「なぁ」


 陸の方を向くとしばらく目が合って、陸は何も話さない。


「ん?」

 陸は私の頬を触り、陸の方へ向けるように小さく力を込めた。


 近い距離で交わる視線。


 体ごと陸の方に向きを変えて


「どうした………」


 どうしたの?そう聞こうと思った。


 でもその言葉は最後まで言えなかった。



 塞いだから。陸の唇が、私の唇を塞いだから……


 侵入してくる舌に、驚くだけで無防備な私。陸は私を押し倒して、私の上に跨った。私を見下ろす陸と目が合って、陸がまた私にキスをしようとした……


 けど、寸前で止まった。


「お前………………拒めよ」


 そう言って陸は私から離れた。