みんなでご飯を食べ終わり部屋に戻った。

 私は休憩エリアの自販機で水を買って掌に乗せた錠剤を見つめてた。

 ふぅ、っと一つ息を吐き、水を口に含んで、覚悟を決めて口に入れようとした……その時……

「何それ」

 突然そう言われて、驚いて思わずぶっと水を口から噴き出してしまった。


 振り返ると、そこにいたのは空さんだった。

「空さん……」
「何それ、手開いて」

 ギュッと握った手を無理やり開かされた。

「薬です、寝付きよくするやつです。変な薬じゃないですよ……西山さんがドラッグストアで買ってきてくれたです」


 そう言うと、はぁー、っとため息をついた。

「こんなの飲むな、癖になるぞ、そんなに眠れないの?」
「もう……私が……私じゃなくなっちゃうみたいで、怖い……怖いんです」

 震える声でそう言うと

「まさかまた自分傷付けてないよな?」

 そう言って私のシャツの袖を捲った。

「やってないです……だけど夜になると怖くて、朝が来るのが怖くて……一人でいると怖くて震えるんです」
「なんでだよ、なんでそんなに怖いんだよ」
「分かりません……」

 そう言うと震える私の腕を荒く引き寄せて、空さんは、私を強く……抱きしめた。

「一人が怖くて眠れねーなら朝までこうやっててやるよ、だから薬なんかに頼るな」

 そう言って私を抱きしめる腕に力がこもった。

 震える体を窘めるように強く、強く抱きしめられた。

 空さんの腕は鍛えられていて、ちょっとやそっとじゃ吹き飛ばされない。この腕に包まれてると守られてる感じが強くて落ち着く。

 抱きしめる力が弱まると空さんは少し距離を置いて私の涙でぐちゃぐちゃになった顔を掌で拭った。

「汚い……ですよ」
「汚くねーよ」

 でも、恥ずかしくて少し離れた所にあったティッシュを取りに行った。

 とりあえず一通り拭ってガラス窓を見ると反射してる顔、酷い顔。

「今日誰と寝るの?」
「今日は一人で……皆さんに迷惑かけられないですし」
「じゃあ……俺と寝ろ」
「……え?」


「安心しろ、なんもしねーよ」






「あー、めっちゃ喉乾いたわー」
「あ、龍」
「陸、何してんねん、こんな所で、あ、陸も飲みもん買いにきたん?」
「あ、これ、やるわ」
「え、飲まんの?」
「あぁ……戻ろ」
「ラッキー、陸の奢り」






「でもなんや……このコーラ温いな、自販壊れてるんちゃう?」